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リンクは、インターネット上の他のサーバーや、同一サーバーに保存されている別のファイルを読み込むための<参照>とされています。

たとえば、↓のような画像やURLをクリックすると、別のサーバーに保存されているページに飛ぶ(=htmlタグで指摘されたファイルをクライアントコンピューターが読み込んでブラウザに処理結果が表示される)ことになります。

このリンクの適法性を巡って、承認を得たリンクは当然別として、無断のリンクについて、かつて論争が行われた時代もあったようです。

では、無断リンクは著作権法上違法なのでしょうか。

まず、上記の用なURLや、文字、画像にタグでファイルを指定してリンクを張る行為は、基本的には著作権法上問題は生じないと解されます。なぜなら、文字、画像にタグでファイルを指定してリンクを張る行為は、リンク先のファイルが保管されたサーバーコンピューターと、クライアントコンピューターのやり取りを促すにすぎず著作権法上の複製や翻案と評価できる行為や、公衆送信(自動公衆送信及び送信可能化)と評価できる行為を見出すことが難しいからです。

これに対して、下記のようなリンクはどうでしょうか。


このリンクの問題点は、上記「インターネット法務」と記載された画像ファイルが、本ブログとは別のサーバーに保存されている点です。この画像の表示方法は、いわゆる直リンクといわれる方式で、無断で直リンクを行って画像や文章を表示させる行為は、著作権法上問題があるとの指摘も多い部分です。

では、無断で通常の方式でリンクを張ることと、直リンク形式でリンクを張ることは、どのように違うのでしょうか。また、無断の直リンクによって直接画像や文章を表示させることには、どのような著作権法上の問題点があるのでしょうか。

直リンクに関して従来指摘が多かったのは、リンク元の画像や文章をリンク元のサイト作成者の承諾を経ずにレイアウトを崩してその一部を表示させることから、同一性保持権や、翻案権を侵害するという指摘でした。確かに、全体として一つの文章として完成する文章の一部や、ウェブサイトの他の要素と一体としてデザインを構成している画像を抜き出して、別個のサイトに表示させる行為は、リンク元の文章全体を著作物として成立する同一性保持権や翻案権、リンク元のウェブサイト全体の著作物上に成立する同一性保持権や翻案権を侵害することは明らかと考えられます。

では、「文章」や「写真イラストなどの画像」を寄稿しただけで、ウェブサイト全体のデザインには全く関与していない著作権者が、「文章」全体や「写真イラストなどの画像」を、同一性を損ねることなく無断で直リンクされた場合、著作権法上の問題は生じないのでしょうか。

この点、参考になるのが、ロクラクⅡに関する最高裁判例(平成21(受)788  著作権侵害差止等請求事件 平成23年1月20日  最高裁判所第一小法廷  判決  破棄差戻 )です。同判例は「放送事業者である上告人らが,「ロクラクⅡ」という名称のインターネット通信機能を有するハードディスクレコーダー(以下「ロクラクⅡ」という。)を用いたサービスを提供する被上告人に対し,同サービスは各上告人が制作した著作物である放送番組及び各上告人が行う放送に係る音又は影像(以下,放送番組及び放送に係る音又は影像を併せて「放送番組等」という。)についての複製権(著作権法21条,98条)を侵害するなどと主張して,放送番組等の複製の差止め,損害賠償の支払等を求め」た事案です。

同判例において、最高裁判所は、「放送番組等の複製物を取得することを可能にするサービスにおいて,サービスを提供する者(以下「サービス提供者」という。)が,その管理,支配下において,テレビアンテナで受信した放送を複製の機能を有する機器(以下「複製機器」という。)に入力していて,当該複製機器に録画の指示がされると放送番組等の複製が自動的に行われる場合には,その録画の指示を当該サービスの利用者がするもので
あっても,サービス提供者はその複製の主体であると解するのが相当である。すなわち,複製の主体の判断に当たっては,複製の対象,方法,複製への関与の内容,程度等の諸要素を考慮して,誰が当該著作物の複製をしているといえるかを判断するのが相当であるところ,上記の場合,サービス提供者は,単に複製を容易にするための環境等を整備しているにとどまらず,その管理,支配下において,放送を受信して複製機器に対して放送番組等に係る情報を入力するという,複製機器を用いた放送番組等の複製の実現における枢要な行為をしており,複製時におけるサービス提供者の上記各行為がなければ,当該サービスの利用者が録画の指示をしても,放送番組等の複製をすることはおよそ不可能なのであり,サービス提供者を複製の主体というに十分である」などとして、複製行為の主体性を判断しました。

そのうえで、補足意見において、「「カラオケ法理」は,物理的,自然的には行為の主体といえない者について,規範的な観点から行為の主体性を認めるものであって,行為に対する管理,支配と利益の帰属という二つの要素を中心に総合判断するものとされているところ,同法理については,その法的根拠が明らかでなく,要件が曖昧で適用範囲が不明確であるなどとする批判があるようである。しかし,著作権法21条以下に規定された「複製」,「上演」,「展示」,「頒布」等の行為の主体を判断するに当たっては,もちろん法律の文言の通常の意味からかけ離れた解釈は避けるべきであるが,単に物理的,自然的に観察するだけで足りるものではなく,社会的,経済的側面をも含め総合的に観察すべきものであって,このことは,著作物の利用が社会的,経済的側面を持つ行為であることからすれば,法的判断として当然のことであると思う。」と述べれています。

また、補足意見において、「法廷意見が指摘するように,放送を受信して複製機器に放送番組等に係る情報を入力する行為がなければ,利用者が録画の指示をしても放送番組等の複製をすることはおよそ不可能なのであるから,放送の受信,入力の過程を誰が管理,支配しているかという点は,録画の主体の認定に関して極めて重要な意義を有するというべきである。したがって,本件録画の過程を物理的,自然的に観察する限りでも,原判決のように,録画の指示が利用者によってなされるという点にのみに重点を置くことは,相当ではないと思われる。」とも述べられています。

このように、複製行為、公衆送信行為など、著作権法上権利者が排他的に実行する権利を専有する行為について、行為主体は、物理的、自然的観点だけからではなく、社会的、経済的側面も勘案して、規範的に決せられることになります。そして、社会的、経済的側面のどのような点をどの程度勘案するかは、行為の性質によっても、異なってくることになります。

この考え方を投影した時、通常の形式のリンクと、直リンク形式のリンクにおいて、大きな相違点を見出すことも可能といえるのではないでしょうか。

すなわち、通常のリンク形式の場合、リンクをクリックするのはクライアントコンピューターを使用しているユーザーであり、クリックの結果、クライアントコンピューターとリンク先のファイルを保存しているサーバーコンピューターが直接やり取りを行い処理結果がブラウザに表示されることになります。このように、通常形式のリンクにおいては、物理的、自然的観点だけでなく、社会的、経済的観点を加味して観察しても、リンクを貼ったファイルを公開したサイト作成者には、複製(クライアントコンピューターのキャッシュメモリ作成など)行為や、公衆送信行為の主体性を観念する余地はなさそうです。

これに対して、直リンク形式の場合、仮にリンクを貼った文章全体を直リンクで表示したり、画像を元のサイズで表示するなどして、直リンクにより表示させる文章や画像の同一性保持権や、翻案権を侵害しなかったとします。しかし、直リンク形式による文章や画像がどういったレイアウト、環境で表示されるかは直リンクを貼ったものが決することが通常です。また、直リンクが貼られている場合、通常画像や文章のリンク元にリンクしないと考えられます。したがって、文章や画像の表示による利益(サイトアクセスや、サイトアクセスから導かれる広告効果、アフィリエイト収入など)は、直リンク形式のリンクを行った者に帰属するのが通常です。

以上の点をかんがみて、直リンク形式の場合、直リンクにより表示される文章や画像について、直リンクを貼ったウェブサイト上の表示に限定すれば、公衆送信や複製の主体(公衆送信やキャッシュメモリ上の複製(仮に複製にあたるとすれば)性を、直リンクを貼った者に見出すことも不可能とはいえなさそうです。

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