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「創作的な表現」にいう創作性について,たとえば,下記のような下級審裁判例(平成17年 5月17日 東京地裁 判決)があります。以下,対象の著作物該当性を判示した部分を抜き出して引用します。

 3 争点(2)イ、ウ(著作物性、複製権及び翻案権侵害の成否)について
(1) 著作物の複製(著作権法21条、2条1項15号)とは、既存の著作物に依拠し、その内容及び形式を覚知させるに足りるものを再製することをいう(最高裁昭和50年(オ)第324号同53年9月7日第一小法廷判決・民集32巻6号1145頁参照)。ここで、再製とは、既存の著作物と同一性のあるものを作成することをいうと解すべきであるが、同一性の程度については、完全に同一である場合のみではなく、多少の修正増減があっても著作物の同一性を損なうことのない、すなわち実質的に同一である場合も含むと解すべきである。
また、著作物の翻案(著作権法27条)とは、既存の著作物に依拠し、かつ、その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ、具体的な表現に修正、増減、変更等を加えて、新たに思想又は感情を創作的に表現することにより、これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為をいう。
そして、著作権法は、思想又は感情の創作的な表現を保護するものであるから(著作権法2条1項1号)、既存の著作物に依拠して創作された著作物が思想、感情若しくはアイデア、事実若しくは事件など表現それ自体でない部分又は表現上の創作性がない部分において、既存の著作物と同一性を有するにすぎない場合には、複製にも翻案にも当たらないと解するのが相当である(最高裁平成11年(受)第922号同13年6月28日第一小法廷判決・民集55巻4号837頁参照)。
このように、複製又は翻案に該当するためには、既存の著作物とこれに依拠して創作された著作物との同一性を有する部分が、著作権法による保護の対象となる思想又は感情を創作的に表現したものであることが必要である(著作権法2条1項1号)。そして「創作的」に表現されたというためには、厳密な意味で独創性が発揮されたものであることは必要ではなく、筆者の何らかの個性が表現されたもので足りるというべきであるが、他方、文章自体がごく短く又は表現上制約があるため他の表現が想定できない場合や、表現が平凡かつありふれたものである場合には、筆者の個性が表現されたものとはいえないから、創作的な表現であるということはできない。

このように,上記判例は,著作物該当性における,創作的な表現該当性判断において,「筆者の何らかの個性が表現されたもので足りるというべきである」と述べ,「他の表現が想定できない場合や、表現が平凡かつありふれたものである場合」は,創作的な表現にあたらないと述べています。

以上の判示から,著作物に関する侵害の差し止めを請求する場合,対象が著作物に該当するか否かの判断においては,創作性はそれほど高度のものが求められているわけではないことがわかります。つまり,ある内容を伝えるのにその表現しか考えられない場合や,ある内容を伝えるのに社会一般に広くもちいられている表現方法を選択した場合などを除いて,対象について表現に創作性が認められることになるものと思料されます。

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