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音楽の著作物ついて

著作権法10条1項2号は、「音楽の著作物」を、著作物の例示として掲げています。
ところで、東京地方裁判所昭和43年5月13日判決は、「原告は音楽著作物の偽作を論ずるためには旋律を取り上げてその同一性を論ずれば足りると主張するけれども、音楽が旋律、和声、節奏、形式の四要素から成ることは原告といえども否定しないところであつて、音楽がかような四要素から成立し、これらが一体となつて一個の楽曲を形作つている以上、二つの楽曲の同一性を考えるに当つては、これらすべての要素を考慮に入れて判断を下すのが相当であると考える。もつとも、音楽といつてもさまざまなものがあり、そのうちには古は判例に現われた浪花節のように形式や和声など問題にならず、節奏さえも重要でなく、ただ旋律だけが主要な要素であるものもあるから、かような楽曲を比較する場合には旋律だけを考えれば足りることになる。」と述べています。

このように、法律実務においては、音楽が旋律、和声、節奏、形式の四要素から成ると捉え、次に、ケースに応じて主要な構成要素に着目して同一性や類似性を判断していくことになります。

歌詞について

歌詞が歌手などの実演によって音楽の内容になっている場合、著作権法にいう「音楽」や、「音」には、歌詞も包含されると考えられています。反面、歌詞を旋律や和声などと切り離した場合は、言語の著作物として保護し得ます。もっとも、音楽の著作物に限らず、社会的に「ひとつの作品」とされる創作物の中には当該作品全体を一つと観念する著作物を含めて、無数に著作物を観念できます。したがって、歌詞を分離するか分離しないかは、事案に応じて当事者が自身の判断に基づいて選択的に決定する事項ともいえます。
歌詞の歌唱に、旋律や和音、リズムを一体と捉えて、ひとつの音楽の著作物と捉える場面においては、歌詞も一つとしてとらえた音楽著作物からは分離できないので、当該ひとつの音楽著作物は、共同著作物に該当するものと考えられます。その場合、著作物の管理は共有関係の規定に服するものと思料されます。共有関係の規律については、こちらをご覧ください。

音楽の著作隣接権について

また、著作権法1条は、「この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする」と定めています。このように著作権法は、音楽を実演(著作物を、演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演し、朗詠し、又はその他の方法により演ずること(これらに類する行為で、著作物を演じないが芸能的な性質を有するものを含む。))した実演家(俳優、舞踊家、演奏家、歌手その他実演を行う者及び実演を指揮し、又は演出する者)の権利、レコード(蓄音機用音盤、録音テープその他の物に音を固定したもの(音を専ら影像とともに再生することを目的とするものを除く。))を、製作したレコード製作者(レコードに固定されている音を最初に固定した者)の権利を隣接権として保護することを目的の1つとしています。
したがって、実演された音楽の著作物を利用する場合、音楽の著作者に発生する著作権と共に実演家に発生する著作隣接権に注意しなければなりません。
また、音を物に固定した場合、音楽の著作者に発生する著作権と共にレコード製作者に発生する著作隣接権に注意しなければなりません。
このように、例えば作曲され実演された音楽が物に固定されているときに固定された音源を利用しようとするのであれば、3つの主体にそれぞれ異なる権利は発生している場合がありますので、注意が必要になります。

音楽著作権・著作隣接権の管理

 

音楽著作物に関するもう一つの特殊な事情として、権利管理団体の存在を指摘することが出来ます。音楽著作権はJASRAC等を代表とする音楽著作権管理団体が発展し、著作権を信託契約に基づいて管理団体に移転させたうえで、使用許諾等の権利管理を一括して行っています。ただし、JASRACは、音楽著作権のみを管理し、レコード会社や実演家の享有する著作隣接権は管理していません。
レコード会社、実演家の著作隣接権については、別途、レコード会社や実演家のマネジメント会社が権利を管理しているケースが多いほか、「日本レコード協会」「日本芸能実演家団体協議会」など、著作隣接権を集中管理している団体も存在しています。

 

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