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公衆送信権とは、「公衆によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信…を行うこと」(著作権法2条1項7号の2)をいいます。そして、プログラムの著作物を除いて、公衆送信の「送信」からは「電気通信設備で、その一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内(その構内が二以上の者の占有に属している場合には、同一の者の占有に属する区域内)にあるものによる送信」が除かれています(著作権法2条1項7号の2かっこ書)。

公衆送信に含まれる下位概念として、「放送」、「有線放送」、「自動公衆送信」が定義されています。

放送及び有線放送

放送とは「公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う無線通信の送信をいいます(著作権法2条1項8号)。
有線放送とは、「公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う有線電気通信の送信」をいいます(著作権法2条1項9号の2)。

放送、有線放送ともに条文上、「同時」性に特徴があります。かつて(平成9年著作権改正前)はオンデマンド形式の複数の送受信が異時に発生する有線放送も有線放送権に含まれると解釈されていましたが、オンデマンド形式の有線放送は、基本的に自動公衆送信概念に吸収される形になりました。このように複数の送受信が異時に行われる公衆送信を「放送」及び「有線放送」概念から排するために同時という文言が存在していると解されます。したがって、ここでいう同時性は、複数の送信(かつ受信)の同時性を意味し、「送信」と「受信」の同時性を意味するわけではないものと解されます(このあたりの解釈は、著作権法の言う「送信」と「受信」の解釈の仕方にも影響を与えそうです。)。放送と、有線放送の違いは、条文から明らかなとおり、送信が「無線」か「有線」かの違いです。

自動公衆送信権

次に、自動公衆送信とは、公衆送信のうち、「公衆からの求めに応じ自動的に行うもの(放送又は有線放送に該当するものを除く。)」をいいます(著作権法2条1項9号の4)。公衆からの求めに応じというのは、オンデマンド性を表現しています。しかし、ここでは送信が自動的に行われるものに限定されています。
したがって、公衆からの求めに応じて手動で送信を行う場合、「放送」にも、「有線放送」にも、「自動公衆送信」にも該当しません。

放送・有線放送と比較したとき、自動公衆送信の特徴は、送信の「異時性」です。すなわち、送信が、「公衆からの求めに応じ」発信される点に大きな特徴づけがなされている概念になります。

このように、公衆への送信が必ずしも同時に行われないことから、公衆送信権として著作権者に専有される公衆送信のうち、自動公衆送信においては、送信可能化も含むものとされています。

放送権

放送とは、「公衆送信のうち、公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う無線通信の送信をい」い(著作権法2条1項8号)、「放送を業として行う者を」、「放送事業者」といいます(著作権法2条1項9号)。

上記の通り、公衆送信権のうち放送権においては、無線放送行為が問題となります。

無線放送には、地上波と衛星放送があります。

もっとも単純な放送の仕組みは、電波塔から放出された電波をアンテナで取り込み、テレビ画面に投影します。

アナログ放送では電波の強弱で、デジタル放送では数字の多寡で、映像データを構築します。

衛星放送は、電波発信基地が、地上の電波塔ではなく、宇宙衛星である点が地上波放送と異なります。

衛星アナログ放送は電波の強弱で、衛星デジタル放送は数字の多寡で、映像データを構築し、衛星から地上に電波を送信し、ユーザーはこれをアンテナで受信します。

有線放送権

有線放送とは、「公衆送信のうち、公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う有線電気通信の送信をい」います(著作権法2条1項9号の2)。また、「有線放送を業として行う者を」、「有線放送事業者」と言います(著作権法2条1項9号の3)。

たとえばケーブルテレビでは、衛星放送や地上波放送をケーブルテレビ事業者のアンテナで受信して、優先で各ユーザーに配信します。

まねきTV事件

まねきTV事件とは、ロケーションフリーという商品について、公衆送信権侵害が争われた事例です。地上波アナログ放送のテレビチューナーを内蔵し,受信する放送を利用者からの求めに応じデジタルデータ化し,このデータを自動的に送信する機能を有する機器を以下「ベースステーション」といいます。利用者は,インターネットを介して手元の専用モニター等の端末機器とベースステーションと1対1で対応させることにより,ベースステーションから、デジタルデータ化された地上波アナログ放送を,当該端末機器により受信し、視聴することができました。

すなわち、①利用者が,手元の端末機器を操作して特定の放送の送信の指示をし、②その指示がインターネットを介して対応関係を有するベースステーションに伝えられ、③ベースステーションには,テレビアンテナで受信された地上波アナログ放送が継続的に入力されており,上記送信の指示がされると,これが当該ベースステーションにより自動的にデジタルデータ化され、④次いで,このデータがインターネットを介して利用者の手元の端末機器に自動的に送信され、⑤利用者が,手元の端末機器を操作して,受信した放送を視聴するというものでした。

このように、まねきTVは、地上アナログ放送をインターネットを介してパソコン上で視聴できる点がメリットのひとつでした。しかしながら、上記の視聴態様が公衆送信権侵害に該当するか、争われることになりました。

なお、まねきTV事件においては、録画過程がないため複製権侵害成立は難しく、また、対象が1台の特定の機器であるため、「同一の内容の送信が同時に受信されることを目的」としていないことから、放送権侵害、有線放送権侵害には該当しないことになります(第1次控訴審判決では有線放送権侵害が成立しないことについて、簡単に触れられています。)。

そこで、自動公衆送信権侵害の成否が争われ、第1次知財高裁判決はこれを否定しましたが、最高裁判例においてはこれが肯定され、第2次知財高裁判決においても、侵害が肯定されることになりました。以下、最高裁判決(平成23年 1月18日最高裁第三小法廷判決(平21(受)653号 著作権侵害差止等請求事件(まねきTV事件・上告審)))の要旨です。

 自動公衆送信は,公衆送信の一態様であり(同項9号の4),公衆送信は,送信の主体からみて公衆によって直接受信されることを目的とする送信をいう(同項7号の2)ところ,著作権法が送信可能化を規制の対象となる行為として規定した趣旨,目的は,公衆送信のうち,公衆からの求めに応じ自動的に行う送信(後に自動公衆送信として定義規定が置かれたもの)が既に規制の対象とされていた状況の下で,現に自動公衆送信が行われるに至る前の準備段階の行為を規制することにある。このことからすれば,公衆の用に供されている電気通信回線に接続することにより,当該装置に入力される情報を受信者からの求めに応じ自動的に送信する機能を有する装置は,これがあらかじめ設定された単一の機器宛てに送信する機能しか有しない場合であっても,当該装置を用いて行われる送信が自動公衆送信であるといえるときは,自動公衆送信装置に当たるというべきである。
…そして,自動公衆送信が,当該装置に入力される情報を受信者からの求めに応じ自動的に送信する機能を有する装置の使用を前提としていることに鑑みると,その主体は,当該装置が受信者からの求めに応じ情報を自動的に送信することができる状態を作り出す行為を行う者と解するのが相当であり,当該装置が公衆の用に供されている電気通信回線に接続しており,これに継続的に情報が入力されている場合には,当該装置に情報を入力する者が送信の主体であると解するのが相当である。
 各ベースステーションは,インターネットに接続することにより,入力される情報を受信者からの求めに応じ自動的にデジタルデータ化して送信する機能を有するものであり,本件サービスにおいては,ベースステーションがインターネットに接続しており,ベースステーションに情報が継続的に入力されている。被上告人は,ベースステーションを分配機を介するなどして自ら管理するテレビアンテナに接続し,当該テレビアンテナで受信された本件放送がベースステーションに継続的に入力されるように設定した上,ベースステーションをその事務所に設置し,これを管理しているというのであるから,利用者がベースステーションを所有しているとしても,ベースステーションに本件放送の入力をしている者は被上告人であり,ベースステーションを用いて行われる送信の主体は被上告人であるとみるのが相当である。そして,何人も,被上告人との関係等を問題にされることなく,被上告人と本件サービスを利用する契約を締結することにより同サービスを利用することができるのであって,送信の主体である被上告人からみて,本件サービスの利用者は不特定の者として公衆に当たるから,ベースステーションを用いて行われる送信は自動公衆送信であり,したがって,ベースステーションは自動公衆送信装置に当たる。そうすると,インターネットに接続している自動公衆送信装置であるベースステーションに本件放送を入力する行為は,本件放送の送信可能化に当たるというべきである。

ロクラク2事件

ロクラクⅡは,2台の機器の一方を親機とし,他方を子機として用いることができます。判例上、親機として用いられるロクラクⅡを「親機ロクラク」と、子機として用いられるロクラクⅡを「子機ロクラク」と呼びました。

親機ロクラクは,地上波アナログ放送のテレビチューナーを内蔵し,受信した放送番組等をデジタルデータ化して録画する機能を有しました。また、親機ロクラクは、録画に係るデータをインターネットを介して送信する機能を有しました。

これに対して、子機ロクラクは,インターネットを介して,親機ロクラクにおける録画を指示し,その後親機ロクラクから録画に係るデータの送信を受け,これを再生する機能を有していました。

ロクラクⅡの利用者は,親機ロクラクと子機ロクラクをインターネットを介して1対1で対応させることにより,親機ロクラクにおいて録画された放送番組等を親機ロクラクとは別の場所に設置した子機ロクラクにおいて視聴することができました。

具体的な手順は,①利用者が,手元の子機ロクラクを操作して特定の放送番組等について録画の指示を行い、②その指示がインターネットを介して対応関係を有する親機ロクラクに伝えられ、③親機ロクラクにはテレビアンテナで受信された地上波アナログ放送が入力されており、上記録画の指示があると、指示に係る上記放送番組等が、親機ロクラクにより自動的にデジタルデータ化されて録画され、このデータがインターネットを介して子機ロクラクに送信され、④利用者が、子機ロクラクを操作して上記データを再生し、当該放送番組等を視聴するというものでした。

まねきTV事件と異なり、録画という過程が加わるため、複製権侵害のみが争われ、公衆送信権侵害は争われませんでした。しかしながら、まねきTV事件上告審判決の判断枠組みに照らすと、公衆送信権侵害に該当することは明らかと言えそうです。

まねきTV事件第1次控訴審(公衆送信権侵害の成否)

平成20年12月15日知財高裁判決(平20(ネ)10059号 著作権侵害差止等請求控訴事件(まねきTV事件第1次控訴審))

同判例では、ベルヌ条約や、WIPO条約まで含めて、公衆送信概念の詳細な整理・検討が行われており、大変参考になります。
以下、少し分量が多いですが、該当箇所を掲載します。

 控訴人らの公衆送信行為の主張Bに係る「公衆送信行為」は,有線放送を意図するものと解される。
そこで,以下,有線放送を含む公衆送信に関する著作権法の規定及びその変遷並びにベルヌ条約及びWIPO条約の各規定等を踏まえて,控訴人らの公衆送信行為の主張Bの当否について検討する。
ア 著作権法2条1項7号の2は,「公衆送信」について「公衆によって直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信(電気通信設備で,その一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内(その構内が二以上の者の占有に属している場合には,同一の者の占有に属する区域内)にあるものによる送信(プログラムの著作物の送信を除く。)を除く。)を行うことをいう。」と定義している。
しかるところ,著作権法には,「送信」を定義する規定は存在しないが,通常の語義に照らし,信号によって情報を送ることをいうものと考えられ,その信号には,アナログ信号のみならず,デジタル信号も含まれ,また,必ずしも信号発信の起点となる場合だけでなく,いったん受信した信号をさらに他の受信者に伝達する行為も,著作権法における「送信」に含まれるものと解するのが相当である。
他方,「受信」についても著作権法に定義規定は存在しないが,「受信」は「送信」に対応する概念であるとして,上記のような「送信」に対応して使用されていることからすると,著作権法上,「受信」とは「送信された信号を受けること」をいうものと解すべきである。
なお,同法23条2項が「著作者は,公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する。」と規定していることから,著作権法上,「受信装置」は,「公に伝達」する手段として位置付けられ,公に伝達し得るために,視聴等により情報を覚知し得る状態とする機能を有するものとされている。しかしながら,これは,同項の「公に伝達する」との文言によって,「受信装置」について「受信すること」以外に必要な機能が付加されている(換言すれば,「受信装置」の概念に限定が加えられている)ものと理解すべきであるから,同項が上記のように規定しているからといって,著作権法上の「受信」の概念につき,上記「送信された信号を受けること」以外に,何らかの一般的な限定が加えられたものとまで解することはできない。
イ 上記アのとおり,著作権法2条1項7号の2は,公衆送信といい得るために,「公衆によって直接受信されること」を目的とする無線通信又は有線電気通信の送信であることを必要としている。そこで,以下,同号の「公衆によって直接受信されること」の意義について検討する。
(ア) 現在の「公衆送信」に関する著作権法の規定の変遷は,以下のとおりである。
a 昭和45年法律第48号として制定された後,昭和61年法律第64号により改正される前までの著作権法は,「放送」を「公衆によつて直接受信されることを目的として無線通信の送信を行なうことをいう。」(2条1項8号)と,「有線放送」を「公衆によつて直接受信されることを目的として有線電気通信の送信(有線電気通信設備で,その一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内(その構内が二以上の者の占有に属している場合には,同一の者の占有に属する区域内)にあるものによる送信を除く。)を行なうことをいう。」(同項17号)と,それぞれ定義した上,放送,有線放送に係る著作者の権利につき,「著作者は,その著作物を放送し,又は有線放送する権利を専有する。」(23条1項)と定めていた。
b 昭和61年法律第64号による改正に係る著作権法は,新たに「有線送信」との概念を設け,これを「公衆によつて直接受信されることを目的として有線電気通信の送信(有線電気通信設備で,その一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内(その構内が二以上の者の占有に属している場合には,同一の者の占有に属する区域内)にあるものによる送信を除く。)を行うことをいう。」(同項17号)と定義し,「有線放送」の定義を「有線送信のうち,公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行うものをいう。」(同項9号の2)と改め,さらに,これに伴って著作者の権利に係る23条1項を「著作者は,その著作物を放送し,又は有線送信する権利を専有する。」と改めた。
c そして,平成9年法律第86号による改正に係る著作権法において,新たに「公衆送信」の概念が設けられて「公衆によって直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信(電気通信設備で,その一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内(その構内が二以上の者の占有に属している場合には,同一の者の占有に属する区域内)にあるものによる送信(プログラムの著作物の送信を除く。)を除く。)を行うことをいう。」(2条1項7号の2)と定義された上,「放送」の定義は「公衆送信のうち,公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う無線通信の送信をいう。」(同項8号)と,「有線放送」の定義は「公衆送信のうち,公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う有線電気通信の送信をいう。」(同項9号の2)と,それぞれ改められるとともに,「自動公衆送信」及び「送信可能化」の概念が新設されて,「自動公衆送信」は「公衆送信のうち,公衆からの求めに応じ自動的に行うもの(放送又は有線放送に該当するものを除く。)をいう。」(同項9号の4)と,「送信可能化」は「次のいずれかに掲げる行為により自動公衆送信し得るようにすることをいう。 イ 公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置(公衆の用に供する電気通信回線に接続することにより,その記録媒体のうち自動公衆送信の用に供する部分(以下この号において「公衆送信用記録媒体」という。)に記録され,又は当該装置に入力される情報を自動公衆送信する機能を有する装置をいう。以下同じ。)の公衆送信用記録媒体に情報を記録し,情報が記録された記録媒体を当該自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体として加え,若しくは情報が記録された記録媒体を当該自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体に変換し,又は当該自動公衆送信装置に情報を入力すること。 ロ その公衆送信用記録媒体に情報が記録され,又は当該自動公衆送信装置に情報が入力されている自動公衆送信装置について,公衆の用に供されている電気通信回線への接続(配線,自動公衆送信装置の始動,送受信用プログラムの起動その他の一連の行為により行われる場合には,当該一連の行為のうち最後のものをいう。)を行うこと。」(同項9号の4)と定義され,さらに,これに伴って著作者の権利に係る23条1項が「著作者は,その著作物について,公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては,送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。」と改められて,現在に至っているものである。
(イ) 上記(ア)のとおり,著作権法は,その制定の当初から,著作者がその著作物を放送し,又は有線放送する権利を専有する旨を定めていたところ,その後,通信技術の発達,多様化により,放送や有線放送のような一斉送信の範疇に納まらない新たな形態の送信が普及するようになったことに伴い,昭和61年法律第64号による改正を経て,平成9年法律第86号による改正により「公衆送信」の概念を導入し,その下位概念として,「公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う」送信を「放送」及び「有線放送」とし,また,インタラクティブ送信のような「公衆からの求めに応じ自動的に行う」送信を「自動公衆送信」とするとともに,自動公衆送信装置に関する準備を完了し,直ちに自動公衆送信ができる状態とすることをもって「送信可能化」とした上で,著作者はその著作物について公衆送信(本来の定義に則った「放送」,「有線放送」及び「自動公衆送信」のほか,「送信可能化」を含むものとされている。)を行う権利を専有するとしたものである。
他方,上記(ア)のとおり,著作権法は,その制定の当初から,放送及び有線放送を「公衆によつて直接受信されることを目的」とするものと定義しており,昭和61年法律第64号による改正を経て,平成9年法律第86号による改正により「公衆送信」の概念を導入した際においても,「放送」及び「有線放送」並びに「自動公衆送信」を「公衆送信」の下位概念として整理した上,上位概念である「公衆送信」を「公衆によつて直接受信されることを目的」とするものと定義したものであって,このことは,当初から「公衆によつて直接受信されることを目的」とするものであった「放送」及び「有線放送」のほか,新たに加わった「自動公衆送信」も含め,「公衆によつて直接受信されることを目的」とすることが,公衆送信に共通の性質であることを意味するものである。
(ウ) ところで,上記(ア)の平成9年法律第86号による著作権法の改正は,WIPO条約8条において「ベルヌ条約第11条(1)(ii),第11条の2(1)(i)及び(ii),第11条の3(1)(ii),第14条(1)(ii)並びに第14条の2(1)の規定の適用を妨げることなく,文学的及び美術的著作物の著作者は,その著作物について,有線又は無線の方法による公衆への伝達(公衆のそれぞれが選択する場所及び時期において著作物の使用が可能となるような状態に当該著作物を置くことを含む。)を許諾する排他的権利を享有する。」とされたことを受けてなされたものである。
そして,WIPO条約8条の上記「・・・著作者は,その著作物について,有線又は無線の方法による公衆への伝達(公衆のそれぞれが選択する場所及び時期において著作物の使用が可能となるような状態に当該著作物を置くことを含む。)を許諾する排他的権利を享有する。」との規定と,上記(ア)の著作権法の概念整理の経過とを併せ見れば,次のようにいうことができる。
a WIPO条約8条の規定には,まず,著作物についての「有線又は無線の方法による公衆への伝達」一般について著作者の排他権を及ぼすことが定められていることが明らかであるところ,その「有線又は無線の方法」には,「公衆によって同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う」ものとの限定はないから,「公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う」送信である放送及び有線放送のほか,インタラクティブ送信のような,個々の利用者の求め(アクセス)に応じて個別になされる有線又は無線の送信が含まれるものと解することができる。
さらに,同条の規定においては,「有線又は無線の方法による公衆への伝達」に「公衆のそれぞれが選択する場所及び時期において著作物の使用が可能となるような状態に当該著作物を置くこと」が含まれることが,かっこ書きで明示されている。すなわち,「公衆のそれぞれが選択する場所及び時期において著作物の使用が可能となるような状態」に「著作物を置く」だけでは,当該著作物について,有線又は無線の方法による公衆への伝達(送受信)の準備行為が完了したとはいえても,伝達(送受信)そのものがあったということは,本来,できないはずであるものの,同条かっこ書きは,「公衆のそれぞれが選択する場所及び時期において著作物の使用が可能となる」ための,有線又は無線の方法による著作物の伝達(インタラクティブ送信)に関しては,公衆への伝達(送受信)の準備行為を完了することについて,伝達(送受信)そのものがあったと同様の著作者の排他権を及ぼすことを定めたものということができる。
b 上記(ア)の平成9年法律第86号による改正後の著作権法における各概念を上記WIPO条約8条の規定に照らしてみると,同改正後の著作権法が,「公衆送信」の概念を導入し,公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う送信である「放送」及び「有線放送」と,公衆からの求めに応じ自動的に行う送信である「自動公衆送信」とを「公衆送信」の下位概念とした上で,著作者はその著作物について公衆送信を行う権利を専有するとし,「放送」及び「有線放送」並びに「自動公衆送信」に著作者の排他権が及ぶことを明定したのは,WIPO条約8条が,著作物についての「有線又は無線の方法による公衆への伝達」一般について著作者の排他権を及ぼすことを定めていることに対応するものであることが理解される。
また,それと同時に,同改正後の著作権法が,自動公衆送信装置に関する準備を完了し,直ちに自動公衆送信ができる状態とすることをもって「送信可能化」とした上で,著作者が専有する公衆送信を行う権利には送信可能化が含まれるものとし,自動公衆送信の準備を完了する行為である「送信可能化」についても著作者の排他権が及ぶこととしたのは,WIPO条約8条のかっこ書きが,インタラクティブ送信に関しては,公衆への伝達(送受信)の準備行為を完了することに著作者の排他権を及ぼすことを定めていることに対応するものと解することができる。
そうすると,平成9年法律第86号による改正後の著作権法2条1項各号,23条等の解釈に当たっては,WIPO条約8条の規定の内容を十分参酌すべきであることは明らかである。
(エ) しかるところ,上記のとおり,WIPO条約8条かっこ書きは,インタラクティブ送信に係る公衆への伝達(送受信)の準備行為を完了することを,「公衆のそれぞれが選択する場所及び時期において著作物の使用が可能となるような状態に当該著作物を置くこと」と表現している。そうとすれば,インタラクティブ送信に係る公衆への伝達(送受信)そのものは,「公衆のそれぞれが選択する場所及び時期において著作物を使用すること」になるはずであるから,公衆への伝達(送受信)の結果として,公衆が当該著作物を使用することが必要であり,このことは,受信をした公衆の各構成員が当該著作物を視聴等することによりその内容を覚知することができる状態になることを意味するものと解することができる。そして,公衆への伝達(送受信)に係るこのような意味合いが,インタラクティブ送信に係る公衆への伝達(送受信)に限られるとする理由はなく,放送や有線放送に係る公衆への伝達(送受信)についても同様に解すべきであるから,結局,同条の「著作物について,有線又は無線の方法による公衆への伝達」とは,公衆に向けられた有線又は無線の方法による送信を受信した公衆の各構成員(公衆の各構成員が受信する時期が同時であるか否かは問わない)が,当該著作物を視聴等することによりその内容を覚知することができる状態になることをいうものと解するのが相当であり,このように,受信した公衆の各構成員が,当該著作物を視聴等することによりその内容を覚知することができる状態になることは,放送,有線放送,インタラクティブ送信を通じた共通の性質であると理解することができる。
ところで,上記のとおり,平成9年法律第86号による改正後の著作権法2条1項各号,23条等の解釈に当たっては,WIPO条約8条の規定の内容を十分参酌すべきであるところ,同改正後の著作権法が,著作者はその著作物について公衆送信を行う権利を専有すると定めたことが,WIPO条約8条において,著作物についての「有線又は無線の方法による公衆への伝達」一般について著作者の排他権を及ぼすことと定められていることに対応するものであることも,上記のとおりである。そして,WIPO条約8条において,受信した公衆の各構成員が,当該著作物を視聴等することによりその内容を覚知することができる状態になることは,放送,有線放送,インタラクティブ送信を通じた「著作物について,有線又は無線の方法による公衆への伝達」に共通の性質とされており,他方,上記のとおり,著作権法上,「公衆によつて直接受信されることを目的」とすることが,放送,有線放送,自動公衆送信を通じた公衆送信に共通の性質として規定されているのであるから,著作権法2条1項7号の2の規定に係る「公衆によって直接受信されること」とは,公衆(不特定又は多数の者)に向けられた送信を受信した公衆の各構成員(公衆の各構成員が受信する時期が同時であるか否かは問わない)が,著作物を視聴等することによりその内容を覚知することができる状態になることをいうものと解するのが相当である(翻って,平成9年法律第86号による改正前の著作権法2条1項8号の「放送」に係る定義規定,同項17号の「有線送信」に係る定義規定,さらに,昭和61年法律第64号による改正前の著作権法2条1項17号の「有線放送」に係る定義規定における,各「公衆によって直接受信されること」の意義も同様に解すべきである。また,有線テレビジョン放送法2条1項かっこ書きの「有線放送」の定義に係る「公衆によつて直接受信されること」の意義も同様である。)。
なお,このような理解によると,著作権法23条2項が,同条1項の公衆送信権についての規定を踏まえ,「公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利」(公衆伝達権)について定めていることは,公衆送信を受信した公衆の構成員が著作物の内容を覚知することができる状態となるまでが公衆送信権の対象となる範疇であり,そのような公衆の構成員が更に著作物を公に伝達する行為は,これを公衆伝達権の対象として,当該行為にまで著作者の排他権を及ぼし,もって,著作者の権利を著作物の伝達経路の末端にまで及ぼしたものと解することになる。
ウ 控訴人らの主張するとおり,本件サービスにおいて,被控訴人は,①多数のベースステーションを被控訴人の事業所に設置した上で,②これら多数のベースステーションに電源を供給,起動して,ポート番号の変更などの必要な各種設定を行い,③テレビアンテナで受信した本件番組をこれら多数のベースステーションに供給するために,被控訴人が調達したブースターや分配機を介した有線電気通信回線によってテレビアンテナとこれら多数のベースステーションを接続し,④被控訴人が調達し,被控訴人において必要な設定を行ったルーター,LANケーブル及びハブを経由して,被控訴人の調達した接続回線によりこれら多数のベースステーションをインターネットに接続し,⑤以上のような状態を維持管理する行為を行っているものであり,これらの行為によって,テレビアンテナで受信した本件番組に係るアナログ放送波は,有線電気通信回線を経由して各ベースステーションに流入しているところ,上記アにおいて述べた「送信」及び「受信」の一般的意義を前提とすれば,本件番組に係るアナログ放送波をテレビアンテナから有線電気通信回線を介して各ベースステーションにまで送ることは,著作権法2条1項7号の2の「有線電気通信の送信」に該当し,各ベースステーションが上記アナログ放送波の流入を受けること自体は同号の「受信」に該当するというべきである。そして,上記「有線電気通信の送信」の主体が被控訴人であることは明らかである。
しかるところ,控訴人らは,原判決が採用するベースステーションにおいて受送信を行っている主体は各利用者であるとの論法を前提とするならば,本件サービスにおいて,被控訴人は,各利用者が利用する受信装置であるベースステーションまで本件放送を送信しているのであるから,本件サービスにおける被控訴人によるアンテナからベースステーションまでの間の送信行為は,「公衆に直接受信されることを目的と」するものであると主張する。そして,上記2(原判決「事実及び理由」欄の「第4 当裁判所の判断」の「2 事実認定」の(3))のとおり,平成19年7月29日現在の本件サービスの利用者は74名であり,被控訴人の事業所内に設置されているベースステーションの台数も74台であるところ,仮に各ベースステーションで上記アナログ放送波を受信する主体が各利用者であれば,上記人数に徴して,テレビアンテナから各ベースステーションへの上記アナログ放送波の送信は,特定多数の者(すなわち公衆)によって受信されることを目的とする有線電気通信の送信であるということができる。
しかしながら,上記2(原判決「事実及び理由」欄の「第4 当裁判所の判断」の「2 事実認定」の(1),(3))のとおり,ベースステーションは,テレビチューナーを内蔵しており,対応する専用モニター又はパソコン等からの指令に応じて,テレビアンテナから入力されたアナログ放送波をデジタルデータ化して出力し,インターネット回線を通じて,当該専用モニター又はパソコン等にデジタル放送データを自動的に送信するものであり,各利用者は,専用モニター又はパソコン等から接続の指令をベースステーションに送り,この指令を受けてベースステーションが行ったデジタル放送データの送信を専用モニター又はパソコン等において受信することによって,はじめて視聴等により本件番組の内容を覚知し得る状態となるのである。すなわち,被控訴人がテレビアンテナから各ベースステーションに本件番組に係るアナログ放送波を送信し,各利用者がそれぞれのベースステーションにおいてこれを受信するだけでは,各利用者(公衆の各構成員)が本件番組を視聴等することによりその内容を覚知することができる状態にはならないのである。
そうすると,被控訴人の上記送信行為が「公衆によって直接受信されること」を目的とするものであるということはできず,したがって,これをもって公衆送信(有線放送)ということはできないから,控訴人らの公衆送信行為の主張Bは失当であるといわざるを得ない。
エ 控訴人らは,法律上,行為について「間接」の語を用いるときは,他人が間に介在することを意味するものであるところ,本件サービスにおいては,アンテナからベースステーションまでに「有線電気通信の送信」を行っているのは被控訴人であり,原判決によれば,当該有線電気通信の送信をベースステーションで受信し,ベースステーションから各利用者のパソコンまで送信している主体は各利用者なのであるから,被控訴人と各利用者の間の有線電気通信の送信に他人は介在していないと主張する。この主張は,要するに,著作権法2条1項7号の2の「公衆によって直接受信されること」とは,送信者から受信者である公衆までの送信の経路に他人(第三者)が介在しないことをいうものであるとの趣旨と解されるが,著作権法2条1項7号の2の「公衆によって直接受信されること」とは,上記のとおり,公衆(不特定又は多数の者)に向けられた送信を受信した公衆の各構成員が,著作物を視聴等することによりその内容を覚知することができる状態になることをいうものと解すべきものである。
仮に,控訴人らの主張のとおり,送信者から受信者である公衆までの送信の経路に第三者が介在しないことが,公衆送信の要件であるとすれば,例えば,難視聴解消のためのケーブルテレビによるテレビ放送の同時再送信(これが公衆送信に当たることは,控訴人らが積極的に主張するところである。)において,アンテナで受信した放送信号をブースターで増幅し,増幅した放送信号を何段階かにわたり分配器で分配して,最終的に各家庭のテレビまで送信する過程で,第三者であるケーブル業者が,第1段階の分配直前の位置で電気通信回線を設置管理しているような場合には,すべての受信者による受信につき,送信の経路で第三者であるケーブル業者が介在していることになり,同時再送信者が当該ケーブル業者の関与を把握している限り,公衆送信の要件を充たさないということになりかねないが,第三者であるケーブル業者の設置管理する電気通信回線が,何段階かの分配を経て分岐された肢の一つにあるような場合であって,他の肢を経由する送信(第三者の介在しない送信)の受信者だけでも公衆といい得る程度に多数であるようなときは,なお公衆送信の要件を満たすことになる。しかしながら,このように,ある送信が,ケーブル業者の関与の形態によって,公衆送信となったりならなかったりするという事態が生ずることが,著作権法の解釈として不合理なものであることは明らかである。同様に,控訴人らの主張に従えば,第三者であるネットワーク・プロバイダーが送信を仲介することが想定されているインターネット回線を利用した送信は,公衆送信に含まれ得ないことにもなりかねないが,そのような解釈も不合理なものであるといわざるを得ない(なお,控訴人らは,ネットワーク・プロバイダーについて,情報の流通過程に,当該著作物等の本来的な送信者と扱われるべき者が存在し,その者が受信者に向けての直接の送信者となると解されるため,たとえ著作権法2条1項9号の5イ及びロに掲げる行為を形式的に行っていても,独立した送信行為者とは解されないと主張するところ,同項7号の2の「公衆によって直接受信されること」との関係においても,同様に,当該著作物等の本来的な送信者が存在するために,たとえネットワーク・プロバイダーが情報の流通過程で送信を仲介したとしても,独立した送信行為者とは解されず,情報の流通過程に介在したことにはならないと主張するのであれば,その主張に係る「本来的な送信者」とか「独立した送信行為者」等の意義が不明確であり(例えば,難視聴解消のためのケーブルテレビによるテレビ放送の同時再送信においても,控訴人らの論法を借りれば,「本来的な送信者」としかいいようのない放送事業者(控訴人らのようなテレビ局)が存在するのであるから,ケーブルテレビ事業者は,たとえ情報の流通過程で送信を仲介したとしても,独立した送信行為者ではない,という言い方さえ可能となりかねない。),結局,「公衆によって直接受信される」ものであるかどうかの判断に恣意的な要素を持ち込むものといわざるを得ない。)。そもそも,伝達経路が多段階にわたることが想定される現代の送信において,「公衆送信」に当たるか否かが,公衆によって受信されるまでの間に第三者が介在しないか否かによって決まるものとすれば,公衆に対する最終段階の送信者(介在者)のみが公衆送信者たり得ることとなるが,そのような解釈の結果が一般的に合理性を有するとは解されないし,また,公衆送信者の特定に困難を生ずることになる。まして,最終段階の送信者が「独立した送信行為者」であり,「介在」したといえるのかどうかを個別に判断することを要するとすれば,その困難は更に倍増することは明らかである。
したがって,控訴人らの上記主張を採用することはできない。
(4) 控訴人らは,放送対象地域外に放送が再送信されないようにすることは,著作権法によって保護されるべき著作者の正当な利益であり,放送対象地域外に所在する者(利用者)に放送を同時再送信することを本質とする本件サービスは,著作権法が公衆送信権により保護しようとしている著作者等の正当な利益を害する実質的に違法なサービスであると主張する。
しかしながら,上記2(原判決「事実及び理由」欄の「第4 当裁判所の判断」の「2 事実認定」の(1))のとおり,海外等,本件放送の放送地域外において,本件放送を視聴することができるということは,ベースステーションを含むロケーションフリーが本来的に有する機能(NetAV機能)によるものであるところ,本件において,控訴人らから,ロケーションフリーの上記機能を用いること自体が,一般的に控訴人らの公衆送信権を侵害するものであるとの主張はなく,多数のロケーションフリー(ベースステーション)をシステムの構成要素とする本件サービスを行うことが控訴人らの公衆送信権を侵害するものであるか否かが,本件の争点である。そして,著作権法は,多数の者に対する多段階にわたる伝達が発生し得るアナログ放送波やデジタルデータ等に係る送信行為のうち,一定の要件を満たす特定の行為を公衆送信(送信可能化を含む。)と定め,著作者がこれを行う権利を専有するとしているものであって,著作権法が公衆送信権により保護しようとしている著作者等の正当な利益は,もとよりこの範囲内に存するものである。
しかるところ,被控訴人の行う本件サービスが著作権法の定める公衆送信の要件を満たさないことは,既に述べたとおりであり,公衆送信の概念を拡張又は類推して本件サービスが実質的に違法であると判断するようなことは,公衆送信権の侵害が犯罪を構成する(著作権法119条1項)ことに照らしても,正当ではない。
また,控訴人らは,ベルヌ条約11条の2(1)項(ii)は,著作者に対して,放送された著作物を原放送機関以外の機関が有線又は無線で公に伝達することについての排他的権利を与えており,本件サービスを公衆送信行為に該当するものと解することがベルヌ条約上の要請であると主張する。
しかしながら,ベルヌ条約の同条項は,「文学的及び美術的著作物の著作者は,次のことを許諾する排他的権利を享有する。・・・(ii) 放送された著作物を原放送機関以外の機関が有線又は無線で公に伝達すること。・・・」と規定しているところ,ベルヌ条約の規定を害することがないものとして規定されるWIPO条約8条の規定を踏まえた場合に,著作権法2条1項7号の2の「公衆によって直接受信されることを目的として」との要件の意義を検討した結果,本件サービスにおける被控訴人の行為が公衆送信に当たらないものと判断されることは,上記のとおりであるから,控訴人らの上記主張を採用することはできない。
(5) 以上のとおりであるから,控訴人らが本件番組についてそれぞれ著作権を有するとしても,本件サービスにおいて,被控訴人が本件著作物の公衆送信行為を行っているということはできない

 

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