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リンクと不法行為、著作権侵害の諸問題

リンクと不法行為、著作権侵害

インターネットの基本動作のひとつであるリンクについては、著作物に対してリンクを張る場合、様々な論点が生じます。

著作権侵害及び不法行為法の基本的な理解が問い直されることになります。

そもそも、不法行為と著作権侵害行為のイコール性が問題となります。不法行為とは、故意又は過失により他人の権利その他法律上の利益を侵害する行為です。また、著作権は禁止権です。このため、著作権が禁止する行為を行うこと自体、他人の権利を侵害する行為ということになります。よって、損害の発生や、故意過失はさておき、著作権の禁止規範に触れる行為はすべて、権利を侵害する行為ということができます。

では、共同不法行為はどうでしょうか。共同不法行為にいう共同行為は、権利侵害と因果関係が認められる共同関連行為であると考えられます。その意味で、禁止権たる著作権侵害に対して共同不法行為といい得る行為は、両者の行為が不可分一体となって著作権が国民に与える禁止規範に反するような行為そのものを指すのか、また、禁止規範に複数の者が共同して触れる場合が想定されるのか、あるいはそうした場合を観念していくべきなのか、様々な問題点が生まれてきます。

あるいは、共同不法行為は幇助や教唆のような類型もおいています(民法719条2項)。したがって、ある禁止規範違反が問題となるとき、教唆や幇助の類型による関与も、共同不法行為責任を負うことになります。
この意味で、共同して禁止規範に違反する場合を観念する必要があるのか、という疑問も生じてきます。

さらに検討しなければならないのが、著作権侵害の個数の問題です。例えば、複製権や譲渡権などの場合は個数を観念しやすいと考えられます。禁止規範に反する行為1つ1つが、権利侵害を構成することは、論を待ちません。

ところが、複製権や譲渡権においても、一回の行為で複数の結果が生じてしまう場合などには、権利侵害の個数をどのように捉えるのか、という問題が生じてきます。さらにリンクとの関係では、公衆送信権のうち、送信可能化権などのように、包括的に侵害利益を保護する類型についてはもっと難しい問題に答えを出していかなければなりません。

すなわち、複製権や譲渡権において、一度に複数の権利侵害をした場合、侵害行為も権利侵害の個数に応じて観念できるとの帰結は採りやすいものと考えられます。

これに対して、送信可能化権侵害の場合、将来発生する自動公衆送信行為の予備的行為を禁止する関係で、一つの権利侵害しか観念できないのか、或いは、リンクにより拡大した送信範囲を別の保護対象として切り分けて、複数の権利侵害が観念できるのかという問題が考えられます。仮に、リンクにより拡大した送信範囲を別途観念して権利侵害を複数観念する余地があるのであれば、リンクによる共同著作権侵害という類型も観念し得るものと考えられます。或いは、リンク生成者を主体とする公衆送信権侵害というものも存在し得るとの帰結になるものと考えられます。

また、少なくともリンクによって生じた自動公衆送信権侵害は、一つ一つがそれぞれ単独で公衆送信権を侵害します。この一つ一つの公衆送信権侵害を念頭においたとき、リンクの態様によっては、リンク生成者を権利侵害主体と評価できるのか、という問題もあります。

さらにプロバイダ責任制限法との関係でも、幇助や教唆といった間接侵害に基づく損害賠償請求が、発信者情報開示の対象となるのか、検討されなければなりません。すなわち、法は、「当該権利の侵害に係る発信者情報(氏名、住所その他の侵害情報の発信者の特定に資する情報であって総務省令で定めるものをいう。以下同じ。)」の開示請求権を与えているに過ぎず(プロ責法4条1項柱書)、損害賠償義務者の情報開示を認める体裁とはなっていません。

例えば、口頭で違法なアップロードを教唆した者が、損害賠償義務を負うとしても、発信者には該当しないことは明らかとも言い得ます。これに対して、リンクという形式で違法な自動公衆送信に与した者が、侵害情報の発信者といえるかは議論の余地があるものと考えられます。

この問題は「侵害情報」の解釈論とも考えられます。すなわち、著作権侵害を構成する侵害情報が、直接侵害を構成する情報に限定されるのか、これを超えて幇助を情報発信によって実現した場合のその情報を含むのか、という問題に引き直して考えることができると思われます。

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