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リンクと著作権GS Media BV v Sanoma Media Netherlands BV and Othersの本邦著作権法解釈に与える影響

リンクと著作権侵害の関係を巡って、WIPO(World Intellectual Property Organization)著作権条約8条(WIPO Copyright Treaty Article 8)、欧州著作権指令(Directive 2001/29/EC of the European Parliament and of the Council of 22 May 2001 on the harmonisation of certain aspects of copyright and related rights in the information society )3条1項を巡るGSmedia事件欧州司法裁判所裁定と著作権法23条1項、2項(公衆送信権、公衆伝達権)の関係が問題となります。

著作権法23条1項、2項(公衆送信権、公衆伝達権)は、WIPO著作権条約8条を基に整備、改正が進められてきました。WIPO著作権条約8条は、下記の通り定めます。

WIPO Copyright Treaty Article 8
Right of Communication to the Public

Without prejudice to the provisions of Articles 11(1)(ii), 11bis(1)(i) and (ii), 11ter(1)(ii), 14(1)(ii) and 14bis(1) of the Berne Convention, authors of literary and artistic works shall enjoy the exclusive right of authorizing any communication to the public of their works, by wire or wireless means, including the making available to the public of their works in such a way that members of the public may access these works from a place and at a time individually chosen by them.

このように、WIPO著作権条約8条は、Right of Communication to the Publicには、 the making available to the public( of their works in such a way that members of the public may access these works from a place and at a time individually chosen by them)が含まれると定めています。この規定を受けて、欧州著作権指令3条1項は、下記のとおり定めます。

Directive 2001/29/EC of the European Parliament and of the Council of 22 May 2001 on the harmonisation of certain aspects of copyright and related rights in the information society Article 3
Right of communication to the public of works and right of making available to the public other subject-matter

1. Member States shall provide authors with the exclusive right to authorise or prohibit any communication to the public of their works, by wire or wireless means, including the making available to the public of their works in such a way that members of the public may access them from a place and at a time individually chosen by them.

このように、欧州著作権指令3条1項は、表題においてRight of communication to the public of works and right of making available to the public other subject-matterと定め本文においてやはり、 communication to the publicには the making available to the public( of their works in such a way that members of the public may access them from a place and at a time individually chosen by them)が含まれると規定しています。

GSmedia事件欧州司法裁判所裁定は、オランダ最高裁判所からの回付に対して、この欧州著作権指令3条1項に定められたRight of making available to the publicを含んだRight of communication to the publicについて、ハイパーリンクが含まれる場合があると判示しました。

ところで、日本の著作権法23条1項及び2項が上記WIPO著作権条約8条などの強い影響を受けて規定が整備されてきた経緯があるのは前述のとおりです。そうすると、親元を同じにする欧州著作権指令3条1項について判断したGSmedia事件の判断は、日本の著作権法の解釈にも、無関係とはいえないかもしれません。

もちろん、日本語で法制化する過程で、日本の公衆送信権、送信可能化権、公衆伝達権は、WIPO著作権条約8条との関係で、WIPO著作権条約8条と欧州著作権指令3条1項との間に存在するほどの類似性を喪失しています。しかし、条約優先の原則(著作権法5条)に鑑みても、また、WIPO著作権条約8条を基に本邦著作権法23条1項及び2項が整備されてきた過程に鑑みても、GSmedia事件の判断に一定程度配慮した解釈態度が穏当とも言い得ます。

その意味で、一般的にリンクは著作権を侵害しないとされてきた本邦法解釈にも、少しずつ変化の時が訪れているのかもしれません。

 

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