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インターネットを介した動画、画像のHTMLファイルへの埋込形式の配信は公衆伝達行為に該当するか、興味深い問題と言えます。

サーバーに保存した画像、動画、音楽を埋込(エンバーデット)コンテンツ形式(インラインリンク、埋込リンク、直リンクなどと呼称されることもある形式)で公衆送信した場合、画像がクライアントコンピューターで表示されるのが原則です。すなわち、HTML等でソースに指定された画像ファイルなどは、サーバーから送信されクライアントコンピューターで受信された後、クライアントコンピューターのモニターにブラウザを介して表示されることになります。では、クライアントコンピューターのモニターに著作物が表示されることについて、公衆伝達権は働かないのでしょうか。

著作権法23条2項は、「著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する」と規定します。

自動公衆送信された著作物が、「公衆送信されるその著作物」に該当することは明白です。では、HTMLにおけるソース(SRC)に著作物を再生するデータを代入することは、クライアントコンピューターに、著作物が表示される帰結を導くものとして「その著作物を受信装置を用いて公に伝達する」行為に該当しないでしょうか。

まず、クライアントコンピューター(のモニター)を典型的な公衆伝達形態として店頭などで公衆の閲覧に供した場合、表示された著作物について、公衆伝達権が働くことは明らかです。したがって、クライエントコンピューター(のモニター)が「受信装置」に該当することは明白です。

また、著作物をクライアントコンピューターに表示し、不特定人に視聴させる行為が、典型的な「伝達」行為に該当することも明白です。

そうすると、インターネットを介した動画、画像のHTMLファイルへの埋込形式の配信は公衆伝達行為に該当するか否かは、被伝達者が、不特定の他者、すなわち「公(衆)」に当たるか否かの問題と言っても差支えがないとも捉え得ます。

すなわち、各公衆送信を受信するクライアントコンピューターのユーザーは、ユーザー自身からみれば公衆に該当しないことは明白です。したがって、表示主体がユーザーであれば、そもそも、「伝達」該当性が否定されるものと思料されます。
反対に、送信主体から見れば誰が受信するかは明らかでありません。したがって、受信クライアントコンピューターのユーザーも、送信者から見たとき公衆に該当し得ます。さらに、著作物を包含したデータをアップロードした者と、HTMLにおいて著作物を包含したデータをソース(SRC)に指定した者が異なる場合、HTMLの記述者から見ても、クライアントコンピューターの受信者は不特定の人物、すなわち公衆に該当するということになります。

このように、ユーザーが公衆に該当するか、該当しないかは、クライアントコンピューターに著作物を表示した主体によって切り替わってくることになります。

したがって、インターネットを介した動画、画像のHTMLファイルへの埋込形式の配信が公衆伝達行為に該当するか否かは、被伝達者が、「公(衆)」に当たるか否かの問題、つまり、クライアントコンピューターに著作物を表示させた者を何者と評価するかの問題に引き直して考えられるのではないでしょうか。

そして、私見では、サーバーに保存した画像、動画、音楽を埋込コンテンツ形式(インラインリンク、埋込リンク、直リンクなどと呼称されることもある形式)で公衆送信する場合、HTMLにSRCとして著作物を包含したデータを指定した者をもって、著作物をクライアントコンピューターに表示させた主体と評価する余地があるものと考えます。

なぜなら、HTMLにSRCとして著作物を包含したデータを指定した者は、送信された著作物が自動的にクライアントコンピューターに表示されるまでの因果の流れを支配し、かつ、通常HTMLソースを記述する(直接記述するわけではなく、インターネット上、或いはクライアントコンピューター上のコーディング生成用のソフト(各種ジェネレーター)を媒介とする場合を含む。)者が当該HTMLファイルが保存されたURLにおいて、経済的、社会的利益を得ているケースが多いからです。

この意味で、物理的にも規範的にもHTMLにSRCとして著作物を包含したデータを指定した者こそが、クライアントコンピューターに著作物を表示したものと評価できる可能性があります。もし、HTMLにSRCとして著作物を包含したデータを指定した者が表示者と言える場合、クライアントコンピューターのモニターを使用しているユーザーは上記のとおり公(衆)に該当し得ます。そうすると、公衆伝達権が働く、という帰結も取り得るものと思料されます。

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