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職務著作(著作権法15条)

職務著作

著作権法15条1項は、「法人その他使用者(以下この条において「法人等」という。)の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする」と定めます。
著作権法15条1項は,法人等において,その業務に従事する者が指揮監督下における職務の遂行として法人等の発意に基づいて著作物を作成し,これが法人等の名義で公表されるという実態があることにかんがみて,同項所定の著作物の著作者を法人等とする旨を規定したものである(最高裁平成13年(受)第216号同15年4月11日第二小法廷判決・裁判集民事209号469頁参照)と解されています(後掲北見工業大学控訴審判決が参照するエーシーシープロダクション事件・上告審)。
この規定は、本来、「著作物を創作する者をいう」(著作権法2条1項2号)、原則的な著作者概念を修正する規定ということになります。

職務著作の要件は、条文に記載のとおり、まず、法人その他使用者と、その業務に従事する者という①2者間の使用関係が前提となります。

次に、著作物作成の動機が、②法人その他使用者の発意に基づくこと、が要件とされます。また、著作物の性質として、③職務上作成された著作物であること、が要求されます。

さらに、④法人その他の使用者が自己の著作名義の下に公表するものであり、作成の時における契約、勤務規則等に使用者を業務従事者を原則的に著作者とするなどの⑤別段の定めがないこと、が必要になります。

①2者間の使用関係

形式的には、法人等と作成者との間に雇用関係がある場合は要件を満たし、法人等と作成者の間に請負契約、委任契約があるにとどまる場合は、使用関係を肯定できないとされています。

この要件については、派遣労働の場合の扱いが問題となるという指摘が存在します。基本的に派遣労働の場合は、使用関係を認めてよいとする見解が有力と考えられます。

派遣労働とは、「自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることをいい、当該他人に対し当該労働者を当該他人に雇用させることを約してするものを含まないものとする」と定義されます(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律2条1号)。

なお、平成15年 4月11日最高裁第二小法廷判決 (平13(受)216号 著作権使用差止請求事件 〔エーシーシープロダクション事件・上告審〕)では、「著作権法一五条一項…項の規定により法人等が著作者とされるためには、著作物を作成した者が「法人等の業務に従事する者」であることを要する。そして、法人等と雇用関係にある者がこれに当たることは明らかであるが、雇用関係の存否が争われた場合には、同項の「法人等の業務に従事する者」に当たるか否かは、法人等と著作物を作成した者との関係を実質的にみたときに、法人等の指揮監督下において労務を提供するという実態にあり、法人等がその者に対して支払う金銭が労務提供の対価であると評価できるかどうかを、業務態様、指揮監督の有無、対価の額及び支払方法等に関する具体的事情を総合的に考慮して、判断すべきものと解するのが相当である」と判示されています。

②発意に基づくこと

著作物作成の動機が、使用者などの発意に基づいていることが要請されます。具体的な著作物の内容を使用者などが熟知していることまでは要求されず、直接の意志に基づかない、間接的な意志に基づく著作物の作成も含むと解されています(東京地方裁判所平成17年12月12日判決(宇宙開発事業団プログラム事件等参照))。
後掲北見工業大学事件控訴審判決では、「法人等と業務に従事する者との間に雇用関係があり,法人等の業務計画や法人等が第三者との間で締結した契約等に従って,業務に従事する者が所定の職務を遂行している場合には,法人等の具体的な指示あるいは承諾がなくとも,業務に従事する者の職務の遂行上,当該著作物の作成が予定又は予期される限り,「法人等の発意」の要件を満たすものと解すべきである」と判示されています。

③職務上作成されたこと

①2者間の使用関係と、②使用者の発意に基づくことという要件と、重なり合う部分も多いと考えられます。②発意要件との関係から、具体的な命令までは必要がないと解されています。

④使用者名義による公表

社会的責任を負うことの裏返しとして、使用者に著作者性を肯定する趣旨から要求されていると言われています。
発行者名義や、出版責任などの意味合いで法人等の記載があるものは含まれないと考えられます。この点について争点となった判例として、知的財産高等裁判所平成18年10月19日判決(講習用資料事件)があります。なお、この要件はプログラムの著作物については要求されません(著作権法15条2項)。プログラムは通常著作者の表示が予定されていないことなどに起因します。

この要件の充足性については、①著作物の内容や②発表の形式、③著作者の表示方法など諸要素から総合的に観察して決していくほかないものと考えられます。そのうえで、「著作物に現れた個性」として紐づけられているのが「法人等の人格」といえるのか、「被用者等の人格」といえるのかを判断していくべきと考えられます。

⑤別段の定めがないこと

使用者と被用者が、使用者を著作者としないなど、職務著作の適用を否定する趣旨の契約等をしていた場合、本条の適用は除外されます。その意味で、著作権法15条は、任意規定と言えます。

プログラムの著作物

著作権法15条2項は、プログラムの著作物につき、「法人等の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物の著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする」と定めます。このように、プログラムの著作物においては、④使用者名義による公表の要件が不要とされていることに注意が必要です。

北見工業大学事件控訴審

北見工業事件控訴審は、知的財産高等裁判所において、職務著作の要件を網羅的に検討しており、参考になります。以下、職務著作の要件を検討した部分を掲載します。

知的財産高等裁判所平成22年8月4日判決(北見工業大学事件控訴審)


著作権及び著作者人格権に基づく請求について
(1) 著作権法15条1項の趣旨について
著作権法15条1項は,法人等において,その業務に従事する者が指揮監督下における職務の遂行として法人等の発意に基づいて著作物を作成し,これが法人等の名義で公表されるという実態があることにかんがみて,同項所定の著作物の著作者を法人等とする旨を規定したものである(最高裁平成13年(受)第216号同15年4月11日第二小法廷判決・裁判集民事209号469頁参照)。
以下,著作権法15条1項の要件,すなわち,①法人その他使用者(法人等)の発意に基づくこと,②法人等の業務に従事する者が職務上作成したものであること,③法人等が自己の著作の名義の下に公表するものであること,④作成の時における契約,勤務規則その他に別段の定めがないこと,の順に判断する。
(2) 法人その他使用者(法人等)の発意に基づくこと
ア 法人等が著作物の作成を企画,構想し,業務に従事する者に具体的に作成を命じる場合,あるいは,業務に従事する者が法人等の承諾を得て著作物を作成する場合には,法人等の発意があるとすることに異論はないところであるが,さらに,法人等と業務に従事する者との間に雇用関係があり,法人等の業務計画や法人等が第三者との間で締結した契約等に従って,業務に従事する者が所定の職務を遂行している場合には,法人等の具体的な指示あるいは承諾がなくとも,業務に従事する者の職務の遂行上,当該著作物の作成が予定又は予期される限り,「法人等の発意」の要件を満たすものと解すべきである。
イ 本件についてこれをみるに,前記認定事実のとおり,①控訴人は被控訴人の准教授であること,②北見工業大学共同研究取扱規程(被控訴人規程)には,被控訴人は,共同研究の遂行上必要な施設及び設備を供するとともに,当該施設及び設備の維持管理に必要な経常経費等を負担すること,共同研究の申込みをしようとする民間機関等の長は,所定の申込書を学長に提出し,研究代表者に所定の共同研究計画書を提出させこれを受理したときは,審議機関の議を経た上,文科省と協議して,当該共同研究の受入れについて決定すること,これを受けて,契約担当官が所定の契約書により民間機関等の長と速やかに契約を締結しなければならないこと等が定められていること,③北見市環境調査研究,常呂川水系水質調査研究及び北見市一般廃棄物処理に関する環境調査並びにごみ質調査,作業環境調査は,いずれも被控訴人規程の上記手続に則り,被控訴人において受入れを承認し,本件各共同研究契約を締結したものであること,④控訴人は,本件各共同研究において,被控訴人の研究担当者として共同研究に参加し,研究代表者を務めたこと,⑤平成15年度の本件各共同研究に係る契約には,被控訴人及び北見市等とは,「双方協力して,本共同研究の実施期間中に得られた研究成果について報告書を,本共同研究完了後にとりまとめる。」(第4条),「本共同研究によって得られた研究成果(研究期間が複数年度にわたる場合は当該年度に得られた研究成果)について,秘密保持の義務を遵守した上で開示,発表若しくは公開することができる。ただし,公表の時期・方法などについては,…協議の上,定める。」(第19条)等の条項があること,⑥本件各平成15年度報告書は,概ね,調査の概要(調査項目,調査地点,調査回数等),調査結果(データの記載),結果の解析及び考察,資料等から構成されるものであること,以上の事実が認められる。
これらの本件各共同研究契約締結の経緯や,控訴人の役割,本件各平成15年度報告書作成の経緯及び内容等の認定事実に照らすと,被控訴人と北見市等との本件各共同研究は,被控訴人と北見市等との契約に基づき行われたものであり,被控訴人は,北見市等に対し,本件各共同研究契約に従った内容の研究を実施,遂行すべき義務を負っていたものであるところ,控訴人は,被控訴人と北見市等との間の本件各共同研究契約において,被控訴人側の研究担当者として共同研究に参加したのであるから,被控訴人の北見市等に対する上記義務を履行するため,控訴人も,被控訴人の従業者として上記契約に従った内容の研究を実施,遂行すべき義務を負うとともに,これについて,被控訴人の指揮監督に服することとなるのであって,上記契約に従い,本件各共同研究の実施期間中に得られた研究成果について,共同研究完了後に本件各平成15年度報告書がとりまとめられたものということができる。
したがって,本件各平成15年度報告書の作成は,被控訴人が北見市等との間で締結した契約に従って,控訴人が被控訴人側の研究担当者として所定の職務を遂行し,控訴人の職務の遂行上その作成が予定されたものであったというべく,被控訴人の発意に基づくものと評価することができる。
ウ 控訴人は,本件各平成15年度報告書は,本件各共同研究契約書の第4条に規定される「実績報告書」ではないと主張する。しかし,本件各共同研究契約書が民間等との共同研究契約書(様式参考例)を参考に作成されたものであるとしても,本件各共同研究契約書における報告書が,直ちに様式参考例の実績報告書と同義になるわけではないし,実施報告書が別途作成されたからといって,本件各平成15年度報告書が「実績報告書」に当たらないということにはならない。
控訴人は,殊に,大学関係においては,民間企業と異なり,学問の自由の保障により職務著作の適用につきより慎重かつ厳格な検討が要請されると主張する。しかし,大学における通常の研究活動に学問の自由が保障されることはいうまでもないところ,「大学…における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進を図るための措置を講ずることにより,新たな事業分野の開拓及び産業の技術の向上並びに大学…における研究活動の活性化を図り,もって我が国産業構造の転換の円滑化,国民経済の健全な発展及び学術の進展に寄与すること」を目的とする大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律1条の趣旨に照らしても,本件のように,大学が外部の団体と締結した契約に基づく研究活動についてまで,学問の自由の保障をもって職務著作の規定の適用が制約されることにはならないというべきである。
控訴人は,学内メールの存在をもって,被控訴人の発意に基づくものではないことの根拠とする。しかし,前学長の学内メール(甲25)は,平成19年1月に,全教員にあてて,「今後本学に申し込まれる共同研究は,「共同研究申込書」を研究協力課が受領した時点で,学長が大学として受け入れ可能か,誰が適任者かを判断の上,…研究代表者を任命することとします」というものであるところ,それ以前の共同研究がこれと異なる取扱いをされていたとの根拠になるわけではない。
控訴人のその余の主張についての判断は,原判決41頁20行目ないし43頁1行目のとおりであるから,これを引用する。
エ 以上によれば,本件各平成15年度報告書は,著作権法15条1項にいう「法人その他使用者(法人等)の発意に基づくこと」の要件を充たすものであり,控訴人の主張は理由がない。
(3) 法人等の業務に従事する者が職務上作成したものであること
ア 前記認定事実のとおり,①控訴人は,被控訴人の准教授を務めており,両者の間には雇用関係があったこと,②被控訴人と北見市等との間の本件各共同研究契約において,控訴人を研究担当者として参加させる旨の約定がされたこと,③控訴人が共同研究に参加する旨を申し入れ,被控訴人がこれを受けて控訴人を被控訴人の研究担当者として本件各共同研究に参加させたことにより,控訴人が本件各共同研究に従事することは,被控訴人側の研究者として本件各共同研究に参加する控訴人の職務の内容となっていたこと,④本件各平成15年度契約書は,本件各共同研究契約に基づき,本件各共同研究の終了後に,研究担当者が北見市等と協力して共同研究の実施期間中に得られた研究成果についての報告書としてとりまとめられたこと,以上の事実が認められる。
このような事実に照らせば,本件各平成15年度報告書は,被控訴人の業務に従事する控訴人が,職務上作成したものであるということができる。
イ 控訴人は,大学の研究者が学問の自由が保障される特殊性を検討すべきである旨主張する。
しかしながら,大学における通常の研究活動に学問の自由が保障されることはいうまでもないところ,本件のように,大学が外部の団体と締結した契約に基づく研究活動についてまで,学問の自由の保障をもって職務著作の規定の適用が制約されることにはならないことは,前記(2)と同様である。
ウ 以上によれば,本件各平成15年度報告書は,著作権法15条1項にいう「法人等の業務に従事する者が職務上作成したものであること」の要件を充たすものであり,控訴人の主張は理由がない。
(4) 法人等が自己の著作の名義の下に公表するものであること
ア 前記認定事実のとおり,①本件北見市環境調査報告書(甲4)の表紙下部中央には「北見工業大学地域共同研究センター」,「北見工業大学化学システム工学科環境科学研究室」と上下二段で記載されていること,同報告書の目次及び本文中には執筆分担者の表示等はないこと,同報告書の「まえがき」中には,「本調査は北見市より北見工業大学地域共同研究センターに委託された北見市環境調査を本学化学システム工学科環境科学研究室と北見市との共同研究(調査)として行ったもので,本年度はその11年目である。」との記載があること,報告書の「まえがき」には,「本共同研究の研究メンバーは下記の通りである。」とした上,他の研究担当者の氏名の表示とともに,控訴人の氏名が表示されていること,②本件常呂川水系水質調査報告書(甲6)の表紙下部中央には「北見工業大学地域共同研究センター」,「北見工業大学化学システム工学科環境科学研究室」と上下二段で記載されていること,同報告書の目次及び本文中には執筆分担者の表示等はないこと,同報告書の「まえがき」中には,「本調査は(中略)常呂川水系環境保全対策協議会より北見工業大学地域共同研究センターに委託された同水系水質調査を協議会と本学化学システム工学科環境科学研究室との共同研究(調査)として行ったものであり,本年度は11年目である。」との記載があること,「まえがき」の末尾には「共同研究代表」との肩書きに続いて控訴人の氏名が表示されていること,③本件北見市一般廃棄物処理に関する環境調査等報告書(甲5)の表紙下部中央には「北見工業大学地域共同センター」,「北見工業大学化学システム工学科環境科学研究室」と上下二段で記載されていること,同報告書の目次及び本文中には執筆分担者の表示等はないこと,同報告書の「はじめに」中には,「本研究は北見市がこれらの施設からの有害物質発生を抑制し,大気,水,地下水など環境汚染を未然防止すること,および廃棄物処理プロセスにおける作業安全管理を図ることを目的として北見工業大学地域共同研究センターに委託し,本学化学システム工学科環境科学研究室と北見市環境緑化部廃棄物処理場との共同研究として行ったものである。」との記載があること,「はじめに」の末尾及び「まとめ」の末尾には,「共同研究代表者」との肩書に続いて控訴人の氏名が表示されていること,④研究成果の公表について,被控訴人規程13条は,「学長は,共同研究による研究成果を公表する場合は,公表時期及び方法について,民間機関等との間で適切に定める。」と規定しており,共同研究による研究成果の公表は,被控訴人を代表する学長の権限となっていること,以上の事実が認められる。
これらの事実に照らすと,表紙下部中央の「北見工業大学地域共同研究センター」,「北見工業大学化学システム工学科環境科学研究室」との記載は,報告書の著作名義そのものを記載したものとみるべきであって,いずれも被控訴人の著作名義の下に公表したものであるということができる。
イ 控訴人は,使用者である法人等が著作したと評価するに足りる実体を備えたものであるかという実質的判断をすべきであると主張する。
しかし,本件各平成15年度報告書が,「まえがき」にもあるとおり,「本調査は,北見市等から北見工業大学地域共同研究センターに委託された…環境調査を本学化学システム工学科環境科学研究室と北見市との共同研究(調査)として行ったもの」であることに照らすと,同報告書は,控訴人個人が著作したのではなく,大学としての被控訴人が著作したと評価するに足りる実体を備えたものであることは明らかである。そして,本件各平成15年度報告書に対する社会的な信用や責任の帰属主体として,被控訴人の名義に係るものというべきである。
ウ 以上によれば,本件各平成15年度報告書は,著作権法15条1項にいう「法人等が自己の著作の名義の下に公表するものであること」の要件を充たすものであり,控訴人の主張は理由がない。
(5) 作成の時における契約,勤務規則その他に別段の定めがないこと
ア 本件全証拠によっても,被控訴人において,本件各平成15年度報告書が作成された時に,契約,勤務規則その他に,著作権法15条1項の適用を排して,研究者個人を著作者とする旨の定めがあったことを認めるに足りない。
イ 控訴人は,「著作権譲渡書」をもって,別段の定めがある旨主張する。しかし,「著作権譲渡書」(甲19,20)は,被控訴人の教員が著作権を有する著作物につき,その著作権を被控訴人に譲渡するための書類であり,被控訴人が原始的に著作権を有する著作物について,適用されるものとはいえない。
また,控訴人は,被控訴人の「国立大学法人北見工業大学職務発明規程」(平成16年4月1日)(甲7)の第2条の「発明等」の定義の中に,プログラム著作物及びデータベース著作物が含まれることを明示しながら,それ以外の著作物を「発明等」から除外していることをもって,別段の定めに該当する旨主張する。しかしながら,同規程(甲7)は,国立大学法人北見工業大学の職員等が行った発明等の取扱いについて規定し,その発明者の権利を保護することにより,発明等の奨励及び研究意欲の向上を図ることを目的とするものであり(1条),プログラムの著作物及びデータベースの著作物について(2条一オ),被控訴人は職務発明等にかかる知的財産権の全部又は一部を承継し,これを所有するものとすることや特別の事情がある場合には職員等に帰属させることができる旨を定めるものである(6条)。同規程は,上記目的の下に,著作権法15条によれば,権利の承継を経るまでもなく,被控訴人が著作者として著作権を有することになるものについて,プログラムの著作物やデータベースの著作物の性質に鑑みて,これら著作物については,特に,特許法等の規定する「発明」に含め,職員等が著作者となり,被控訴人は職員等から著作権の承継を受けるものとしたものであると解される。したがって,同規程は,プログラムの著作物やデータベースの著作物以外の著作物については,何ら規定していないといわざるを得ない。
ウ 以上によれば,本件各平成15年度報告書は,著作権法15条1項にいう「作成の時における契約,勤務規則その他に別段の定めがないこと」の要件を充たすものであり,控訴人の主張は理由がない。

 

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