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狭義の名誉棄損と名誉感情侵害

名誉については、①外部的名誉、②名誉感情、③内部的名誉が観念できます。①外部的名誉とは、他人が人に対して与える社会的評価を指します。これに対して②名誉感情は、自分が自分に対して与える主観的な評価を指します。①外部的名誉は、いわば、自分以外が自分に与える評価であり、②名誉感情は自分が自分に与える評価と考えればイメージが持ちやすいところかもしれません。

このうち、刑事法が保護法益としているのは、①外部的名誉だけです。これに対して民事法上も、①外部的名誉を棄損した場合が名誉棄損に当たります。しかし、民事上の法的な保護は外部的名誉を侵害した場合の名誉毀損が成立するケースだけでなく、②名誉感情も法的保護に値すると考えられ、名誉感情を著しく傷つけた場合も不法行為が成立する場合があります。

③内部的名誉は、人の評価を離れた本来のその人の社会的な価値や評価のことです。いわば神の与えるその人物に対する評価ともいうべきもので、人が感知できるものではなく(あるいは人が議論しても意味がないものであり)、刑事上も民事上も保護の対象とならないと考えられています。

このように、刑事法上は、①外部的名誉の侵害のみを考えればよいところ、民事法においては①外部的名誉毀損と、②名誉感情侵害をわけて考える必要があります。ウェブ、インターネット上の名誉棄損についても、①外部的名誉を傷つけられた狭義の名誉棄損のケースであるのか、②名誉感情を傷つけられた名誉感情侵害のケースであるのか慎重に検討する必要があります。最も両者は重なることも多いものと考えられます。

名誉毀損と名誉感情侵害の違い

①外部的名誉棄損の場合、人が人に対して与える社会的評価が毀損される必要がありますので、名誉棄損的言辞や侮辱的言辞が「公然」となされる必要があります。これに対して、②名誉感情侵害については、いわば被害者自信の自己に対する評価、名誉感情が傷つけば足るので、公然性は必ずしも要件となりません。

また、民法723条に規定された名誉回復措置についても、①外部的名誉毀損、狭義の名誉毀損が成立する場合にのみ求めることが出来、名誉感情侵害については同条の要件を満たさないため名誉回復措置は求められないと解されています。

また、民法723条を論拠とした削除請求というのも、名誉感情侵害については難しいことになります。反面、人格権や条理を根拠とした削除請求は、①外部的名誉毀損のケースでも②名誉感情侵害のケースでも認められる可能性はあるものと思料されます。もっとも、②名誉感情侵害において削除請求が認められるハードルは、仮に削除請求が認められるとしても、表現の自由との調整の問題もあり、かなり高いものになってくるものと思料されます。

法人に対する名誉毀損

法人には②名誉感情を観念しにくい、或いはし得ないところから、法人に対しては①外部的名誉毀損、狭義の名誉毀損が問題となります。特に法人の場合問題となりやすいのは、社会的な信用毀損のケースです。信用棄損についても、①外部的名誉の一内容に包含されると考えられており、信用棄損は名誉棄損に含まれます。したがって、法人の外部的信用を侵害する行為に対しては、不法行為として損害賠償を請求(民法709条)するとともに、名誉回復措置も併せて請求していくことが出来ます(民法723条)。

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