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フラダンス振付事件一審判決総論部分のポイント

フラダンス振付事件判決文。15ページから111ページまで、100ページ近く、振付6.11.13.15.16.17の6つの振り付けについて、歌詞の節ごとに詳細に著作物性が検討されています。

振り付けの著作物性については、まず総論が示され、示された総論に基づいて、各論的に各振り付けについて詳細な検討がされています。以下、総論部分のポイントをご紹介します。

ハンドモーションについて

「フラダンスの特徴からすると,特定の楽曲の振付けにおいて,各歌詞に対応する箇所で,当該歌詞から想定されるハンドモーションがとられてい るにすぎない場合には,既定のハンドモーションを歌詞に合わせて当てはめたにす ぎないから,その箇所の振付けを作者の個性の表れと認めることはできない」

「また…既定のハンドモーションどおりの動作がとら れていない場合や,決まったハンドモーションがない場合であっても,同じ楽曲又 は他の楽曲での同様の歌詞部分について他の振付けでとられている動作と同じもの である場合には…作者の個性が表 れていると認めることはできない。」

「さらに…既定のハンドモーションや他の類例と差異が…動作の細かな部分や目立たない部分での差 異にすぎない場合には…そのような差異をもって作者の個性の表れと認めることは相当でない。」

「また,既定のハンドモーションや他の類例との差異が,例えば動 作を行うのが片手か両手かとか,左右いずれの手で行うかなど,ありふれた変更に すぎない場合にも,それを作者の個性の表れと認めることはできない。」

「もっとも,一つの歌詞に対応するハンドモーションや類例の動作が複数存する場 合には,その中から特定の動作を選択して振付けを作ることになり…そのような選択が累積した結果,踊り全体のハンドモーションの組合せが,他の 類例に見られないものとなる場合もあり得る…しかし…それらのハンドモー ションが既存の限られたものと同一であるか又は有意な差異がなく…限られた中から選択されたにすぎない…場合にはその選択の組合せを作者の個性の表れと認めることはできない」「配列についても,歌詞の順によるのであるから…個性の表れと認めることはできない」

「歌詞に対応する振付けの動作が, 歌詞から想定される既定のハンドモーションでも,他の類例に見られるものでも、それらと有意な差異がないものでもない場合には,その動作は,当該歌詞部分の振 付けの動作として,当該振付けに独自のものであるか又は既存の動作に有意なアレ ンジを加えたものということができるから,作者の個性が表れていると認めるのが相当である。 もっとも,そのような動作も…ありふれたものである場合もあり得る。しかし…動作自体はありふれたものであったとしても,それを当該歌詞の箇所に 振り付けることが他に見られないのであれば,当該歌詞の表現として作者の個性が 表れていると認めるのが相当」

ステップ

「ステップについては, 基本的にありふれた選択と組合せにすぎないというべきであり,そこに作者の個性 が表れていると認めることはできない。しかし,ステップが既存のものと顕著に異 なる新規なものである場合には,ステップ自体の表現に作者の個性が表れていると 認めるべきである」

ハンドモーションとステップの組み合わせ

「また,ハンドモーションにステップを組み合わせることにより, 歌詞の表現を顕著に増幅したり,舞踊的効果を顕著に高めたりしていると認められる場合には,ハンドモーションとステップを一体のものとして,当該振付けの動作 に作者の個性が表れていると認めるのが相当である。」

ひとまとまりとしての動作の流れについて

「特定の歌詞部分の振付けの動作に作者の個性が表れ ているとしても,それらの歌詞部分の長さは長くても数秒間程度のものにすぎず, そのような一瞬の動作のみで舞踊が成立するものではないから,被告が主張するとおり,特定の歌詞部分の振付けの動作に個別に舞踊の著作物性を認めることはできない。」

「しかし,楽曲の振付けとしてのフラダンスは,そのような作者の個性が表れている部分やそうとは認められない部分が相俟った一連の流れとして成立するもの であるから,そのようなひとまとまりとしての動作の流れを対象とする場合には, 舞踊として成立するものであり,その中で,作者の個性が表れている部分が一定程度にわたる場合にはそのひとまとまりの流れの全体について舞踊の著作物性を認 めるのが相当である。」「そして,本件では,原告は,楽曲に対する振付けの全体としての著作物性を主張しているから…振付け全体を対象として検討すべ きである。」

総論部分のポイント

という総論部分の検討を経て、各振り付けについて、詳細に検討しています。ポイントは①ハンドモーションは、「歌詞に対応する振付けの動作がa歌詞から想定される既定のハンドモーションでも,b他の類例に見られるものでも、cそれらと有意な差異がないものでもない場合には,個性が現れているし、動作自体はありふれたものであったとしても,それを当該歌詞の箇所に 振り付けることが他に見られないのであれば,当該歌詞の表現として作者の個性が 表れていると認められる」という判断部分です。

つぎに、②ステップについては「ステップが既存のものと顕著に異 なる新規なものである場合には,ステップ自体の表現に作者の個性が表れている」という判断部分です。

そして、③ハンドモーションとステップの組み合わせは、「歌詞の表現を顕著に増幅したり,舞踊的効果を顕著に高めたりしていると認められる場合には,ハンドモーションとステップを一体のものとして,当該振付けの動作 に作者の個性が表れていると認めるのが相当」と判断されています。

最後に、④「以上の個性の表れた振付け単独(長くても数秒の一瞬の動作)では個性が表れているとしても著作物性は満たさない。作者の「個性が表れている部分」が「一定程度にわたる場合」に、そのひとまとまりの流れの全体について舞踊の著作物性を認 めるのが相当」と判示している部分が注目されます。

「個性が表れている部分」が「一定程度にわたる場合」に、そのひとまとまりの流れの全体について舞踊の著作物性を認めるのが相当としていますが、本件では振付け全体を対象としており、限界でどの程度が著作物性を有し得る「ひとまとまり」かは、今後の判断を待つ部分になろうかと思料されます。

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