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オリンピックエンブレム撤回問題

オリンピックのエンブレムが撤回されました※1。

スポンサー企業は、エンブレムの使用許諾に関し,組織委員会と契約し、デザイナー個人とは契約をしてないようです。したがって、損害賠償請求をする場合、組織委に対しては契約上の責任を追及し、デザイナー個人に対しては不法行為責任を追及することになると思われます。

スポンサー企業は組織委員と協賛契約を結び,ゴールドパートナーについては最低でも150億円といわれる多額の協賛金の見返りに,その他のスポンサーも協賛金の拠出を条件にエンブレムなどの知的財産の使用許諾を得ていることを組織委員会も公言(なお組織委は協賛金の額は公言していません。)しています。

協賛金は多額ですが,企業にとっては「デザイナーのエンブレム」を使う対価ではなく,「オリンピック公式エンブレム」を使う対価です。

契約内容にもよりますが,「今回のエンブレム」が使えなくなっても,新しい「オリンピック公式エンブレム」を使用できれば企業は協賛金の対価を得たと評価することになると考えられます。

今回の騒動で味噌がついてしまい,そもそも「オリンピック公式エンブレム」の価値が下がってしまった可能性はありますが,実際に「オリンピック公式エンブレム」の価値が下がったと立証することも,これを金銭に換算するのも相当困難と思われます。

おそらく、スポンサーシップ契約に基づく協賛金については新しい「オリンピック公式エンブレム」を使うことで,法的には対価を得たと評価されることになるのではないでしょうか。。


協賛金は,当初のエンブレム撤回によっても損害賠償の対象になりにくいとしても,当初のエンブレムを既に印刷するなどしてしまっており,使えなくなってしまった商品や,お蔵入りになってしまったCM・宣伝材料などの作成費は,明らかにスポンサー企業に生じた損害と評価できます。

では,企業は無駄になってしまった商品や宣伝材料の製作費などを損害賠償請求できるでしょうか。

もし,エンブレムが盗用であれば,盗用によりエンブレムが使えなくなり,エンブレムを使っている企業に損害が出ることは通常の因果の流れといえます。

しかし,今回の様に,エンブレムと関係のないトートバックや,本来公表が予定されていない展開図に著作物等を盗用したことが明らかになり,これがエンブレムの信用を低下させてスポンサー企業に損害を与えるという流れは,通常のものではないし,予見できたとも思えません。

もし損害賠償が認められるとすれば,展開図の公表のときに,展開図に写真が無断使用されていることを知っていたような場合でしょうが,その際も,賠償義務を負うのは展開図を公表した日以降に印刷された商品や宣伝材料の製作費になると思われます。

組織委はおそらく損害賠償責任を負わないか,負うとしてもかなり限定的な責任に留まるのではないでしょうか。

しかし,デザイナー個人がエンブレム以外の作品で日常的に盗作を繰り返していたとすれば,自身のブランド全体の価値を棄損して企業に損害を与えることも予想できたと評価でき,デザイナー個人がスポンサー企業に損害賠償責任を負う可能性は残るといえるでしょう。

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※1 この記事は旧サイトからの移植記事で、オリンピックエンブレムが撤回された当時に書かれました。

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