iTやコンテンツの法律/知財問題を重視する弁護士です

平成27年9月4日,ドローンを規制する航空法改正案が参議院で可決されました※1。

国土交通省の報道発表ページが分かりやすく資料を公表してくれています。

特にこの、新旧対照表が分かりやすいと思います。

定義規定を改正し、航空法の射程をドローンまで伸ばした後、第9章に無人航空機の章を新たに設け,123条以下で具体的に規定を置くことになるようです。

肝心のドローン規制は2段階。

第1に、空域規制を行うようです(改正航空法123条)。つまり、航空機に影響を与える空域と、人が密集している空域は例外的に国土交通大臣の許可がない限り、ドローンを飛ばすことが禁止されることになります。では、航空機に影響を与える空域と、人が密集している空域は具体的にどこかが、問題になります。この点、委任立法として国土交通省令に委任する内容になっていますので、国土交通省が空域を指定することになります。

第2に、飛行方法による規制(改正航空法123条の2)。つまり、上記の空域規制がかかっていない空域においても、日中において飛行させること(改正航空法123条の2第1号)、ドローン及び周囲の状況を目視して飛行させること(改正航空法123条の2第2号)など、種々の制約を守らなければドローンを飛行させることは出来ないことになります。

いわば、1号と2号の規制だけをみても,日中に目の届く範囲でしかドローンを飛ばしてはいけないことになります。他にも、3号から6号の規制も併せて守らなければなりません。飛行方法規制はこちらにまとめました。

改正航空法施行前は、夜間に人の密集する場所でドローンを飛ばしても行政との関係では違法ではありませんが、今回の改正で禁止されるような方法で万一人を怪我させるようなことがあれば、民事・刑事の責任は免れませんので、法施行前とはいえ、改正航空法によるドローン規制は守っておいた方が良さそうです。

ぼくもドローンには興味があり、ちょっと欲しかったのですが、素人が遊ぶときにはまあ、今回の内容というのは当然守るべきものと思われますので、良いガイドラインが出来たと思って楽しむのが良いと思います。

勿論、ガイドラインを守っても過失で人を傷つけてしまったりしたら民事・刑事の責任は別途発生しますので、人に怪我を与える危険性を相対的に減少させるという意味で、守るべき内容という意味です。

さらに改正航空法157条の4を新設し、今回の改正では罰金規定だけのようですが,罰則も置くようです。


改正航空法施行後は,ドローンは第一に空域規制を受けることになります。つまり、国土交通省が指定する空域では、ドローンを飛ばしてはいけないことになります。

さらに、ドローンを飛ばすことが禁止されていない空域においても、ドローンの飛ばし方には、規制があります。

ドローンの飛ばし方の規制は、改正航空法123条の2第1号から6号に規定されています。わかりやすくするために大まかな表現で記載すると、大体、以下のような内容になっています。それぞれ、番号は号数と対応しています。

① 日中(日の出から日没までの間)しかドローンを飛ばしてはいけない。
② 眼の届く範囲(ドローンと周囲の状況双方)でしかドローンを飛ばしてはいけない。
③ 地上(または水上)の人または物から一定の距離を保ってドローンを飛ばさないといけない(人や物とのスレスレの飛行はだめ)。
④ 人が密集するエリアとして指定されていない場所でも、イベント等で人が多く集まっているときはドローンを飛ばしてはいけない。
⑤ 危険物を載せて飛ばしてはいけない。
⑥ 危険物でなければ乗せても良いが、ドローンから物を落としたりしてはいけない。

まとめれば、日中に目の届く範囲で、人や物から一定の距離を保って、人が密集している場所は避けて飛ばしてください。危険物は載せない、危険物以外も載せても飛行中はドローンから落とさないようにしてください。ということになると思います。

テレビや映画など映像の撮影にドローンを使用する際は、夜景を撮影したい場合や、地面(水面)の人や物擦れ擦れ(接写)で撮影したいような場合は、法施行後は、国土交通大臣の承認を得るなど必要な措置を採ることになりそうです。


※1 この記事は平成27年9月4日参議院可決の航空法改正によるドローン規制について取り扱うものです。その後の法改正などは別記事でレビューする可能性がありますが、当記事はあくまで上記内容の記事ですのでご留意ください。

TOP