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音楽家がJASRACを相手取って訴訟を提起したとの報道複数ありました ※1。ゴーストライターとしての関与が発覚してから大騒動に至った経緯がありますが、今回は騒動に端を発する契約解除の前の期間における著作権使用料を請求して提訴した模様です。

報道によると、原告主張としてはゴーストライターより著作権の譲渡を受けているから、契約解除前の期間については、適法に著作権料の支払い請求権が成立しているという内容のようです。しかし、著作権譲渡について契約書は存在しているのでしょうか。ゴーストライターという性質上、明確な証拠を残さなかった(残せなかった)とすれば、権利帰属が曖昧になって紛争に発展するのは自然な流れなのかもしれません。ゴーストライターを使うことに内在するリスクという言い方もできるかもしれません。仮に著作権譲渡が口頭の合意だとしたら、メールのやり取りなど残っている資料をもとに、和解が早期に成立しなければ、著作権譲渡の当事者を呼んで尋問などに至るのではないでしょうか。

つまり、著作者はゴーストライターであるとして、著作権譲渡契約が成立しているのかが中心的争点になることは自明ではないでしょうか。また、おそらく訴外でこのあたりの権利関係を曖昧に処理できず、訴訟できちんと決着をつけるという意図も原被告双方にあるのではないかと考えられます。逆に言うと、書面で権利関係をきちんと処理できないのことがゴーストライターの内在的リスクであれば、訴訟まで行うに至ることはある意味、避けがたいのかもしれません。

著作権的には重要な法的争点がある事件というわけではなく、事実認定が中心課題になるのではないかと思料されます。ゴーストライターがどの程度訴訟に関与するのかも含めて、事件の真相を知るという意味では、注目される訴訟のひとつになるのではないかと思われます。

 


追記。本日(平成28年10月6日)第一回口頭弁論期日が開かれたとの報道があり、著作権譲渡の合意書は存在するとの報道がありました。ただ、譲渡の時期などが不明確な不完全な書面だったようです。やはり、ゴーストライターを起用したことで、権利関係の処理が適切に行えておらず訴訟に発展した事案のようです。

 


追記。

本件は別事件※2の判決が2016年、2017年各年末に出されています。控訴審判決は、2017年知的財産権法専門部で出された著作権判決のトリを務めることになりました。
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※1 この記事は旧サイトからの移転記事でエントリされた投稿の再掲です。

※2 騒動により損害を被ったとして、公演を企画した企業が音楽家を訴えた事案です。なお、本件については判決が出ているか現時点で弊所において把握しておらず不明です。

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