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I2練馬斉藤法律事務所 IC法務&LG特設サイト/コンテンツです。

インターネットの普及により、国民総クリエイター時代に突入し、弁護士も必ずしも、法令や法律事務に関連しないコンテンツを発信する機会が増えています。ここでいう、「法律外コンテンツ」は、概要、法令・法律事務と関連性のないブログやウェブサイト、SNS発信などのコンテンツを意味しています。ところで、弁護士には様々な業規制が設定されています。これまで、あまり議論されてきていない部分かもしれませんが、弁護士が法律外コンテンツを制作したり、配信・運営する場合、業規制との関係で考察を要する論点がいくつか発生すると考えられます。

法律事務所で行える業務の範囲

弁護士法3条1項は、「法律事務」を弁護士の業務として定めています。また、弁護士法30条は営利業務の届出義務を定めています。営利業務届出が必要とされている趣旨から、「法律事務所」で行える業務は、「法律事務」として定められた業務の範囲に限定されると考えられます。あとはせいぜい、弁護士業務のほか、隣接士業の業務(ただし業務によっては別途登録や資格が必要な場合がある)などに限られていると理解されます(なお、隣接士業の業務が営利業務に含まれないことについて条解弁護士法第4版238頁参照。さらに、同一場所で隣接士業に関する事務所名を別に掲げることが複数事務所の規制に該当しないとの見解が示されています(同151頁)。)。

ただし、 法律事務遂行に必要な付帯業務を法律事務所で行えないとの解釈はとり難いところです。なぜなら、例えば法律事務に伴う郵送作業さえ法律事務所で行えないなどということはあり得ないからです。この趣旨から、弁護士法人については、弁護士法第三十条の五に規定する法務省令である「弁護士法人及び外国法事務弁護士法人の業務及び会計帳簿等に関する規則」(以下規則ということがある。)1条に定める付帯業務等(※1)が定められています。同規則1条は、法律事務所においても法律事務所で行える、弁護士、法律事務所としての業務の範囲内の行為と理解して良いのではないかと思われます。

したがって、弁護士あるいは法律事務所においては、省令1条に定める範囲を越え、かつ、営利業務にあたる活動については、かかる営利を目的とする業務については、届出義務を負うものと思料されます。

したがって、ここで検討する法律外コンテンツの意味は法令及び法律事務と関連性のないコンテンツです。さらに具体的には、当該コンテンツの内容が「弁護士又は弁護士法人の業務に関連する講演会の開催、出版物の刊行その他の教育及び普及の業務」などの程度を超えた「法律事務に附帯し、又は密接に関連する業務」にさえ該当しない、法律事務とおよそかかわりのないコンテンツと定義されることになります。

ところで、自家用野菜の栽培や冠婚葬祭の費用を捻出するのと同程度の社会通念上営利と評価できない水準の収入額であれば「営利業務」に当らないとの見解があります(条解弁護士法第4版236頁)。法律外のコンテンツについては、趣味のブログやウェブサイト、SNS程度であれば僅少なアフィリエイト収入を得るものであっても自家用野菜の栽培や冠婚葬祭の費用を捻出するのと同程度の社会通念上営利と評価できない水準の収入額であれば「営利業務」に当らないと理解されます。反面、弁護士が運営する法律外のコンテンツについて規模の大きなもの、アフィリエイト収入などが社会通念上営利と評価できる水準に達しているもの等については、営利業務に該当する可能性があるため、これを届け出ることが必要と理解されます。

※1 弁護士法人の業務の範囲(参考)

弁護士法人及び外国法事務弁護士法人の業務及び会計帳簿等に関する規則第一条 弁護士法(以下「法」という。)第三十条の五に規定する法務省令で定める業務は、次の各号に掲げるものとする。
一 当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱により、管財人、管理人その他これらに類する地位に就き、他人の事業の経営、他人の財産の管理若しくは処分を行う業務又はこれらの業務を行う者を代理し、若しくは補助する業務
二 当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱により、後見人、保佐人、補助人、監督委員その他これらに類する地位に就き、他人の法律行為について、代理、同意若しくは取消しを行う業務又はこれらの業務を行う者を監督する業務
三 当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱により、他人の業務及び財務の状況、変態設立事項、資産の価格その他の法律事務に関連する事項について、調査してその結果を報告し、又は証明する業務
四 弁護士又は弁護士法人の業務に関連する講演会の開催、出版物の刊行その他の教育及び普及の業務
五 法律事務に附帯し、又は密接に関連する業務

営利業務に際しての勧誘について

では、法律外コンテンツに弁護士や法律事務所の広告を掲載することは許されるのでしょうか。

弁護士は届け出た(あるいは届け出ていなくても、届け出ていないこととは別の問題として、)営利業務に際して弁護士業務を勧誘することが禁じられています( 営利業務及び公務に従事する弁護士に対する弁護士会及び日本弁護士連合会の指導・監督に関する基準 (平成十六年二月一日理事会議決) 4条)。

この「勧誘」の意味が問題となります。ここで、「勧誘」とは特定の者に情報を提供する行為、これに対して「広告」とは不特定の者に情報を提供する行為を意味し、したがって、「広告」は「勧誘」には該当しないという理解がある程度強かったようです。しかし、その考え方は、消費者契約法12条に言う「勧誘」については、最高裁によって一部否定されています。

また、社会儀礼の範囲内で名刺などを渡すことは弁護士が業規制を受けるという意味での「広告」に当たらないという見解もあり、社会儀礼として名刺を交付するだけの行為は、同様に「勧誘」にも当たらないと言うべきでしょう。

以上の理解を前提にすれば、世間一般に公開されている法律外コンテンツのウェブサイトに、法律事務所の広告を掲載することは直ちに「勧誘」に当らないと理解されます。

広告は相当に広範な概念ですが、「公共広告」、「意見広告」、「レスポンス広告」、「ブランディング広告」など、目的に応じて分類する場合があります。まず、「公共広告」「意見広告」は、勧誘に該当し難いと考えられます。

反対に、「レスポンス広告」は、最高裁の理解によれば勧誘に当たり得る例と理解されます。つまり、法律外コンテンツに法律事務所の連絡先や業務のメリットを記載した単独で完結するレスポンス広告を組み込んで表示する場合「勧誘」にあたり得ると判断される場合があるでしょう。

一番議論が分かれる可能性があるのは、「ブランディング広告」「イメージ広告」のあたりと理解されます。これについては、「ブランディング広告」「イメージ広告」などにおいて記載される広告内容が勧誘の語義と異なることや、これまで不特定に向けた広告が勧誘に当たらないと理解されてきた経緯からも、基本的に勧誘に当たらないと理解されるべきとも思われますが、その他要素から「勧誘」と評価する余地が存する場合もあり、事案毎に判断するよりないのでしょう。

そうすると、一般に公開されている法律外コンテンツに例えば法律事務所ウェブサイトへのリンクを貼る行為は、直ちに「勧誘」に該当しないという理解できますが、イメージ広告の場合など、程度問題とも言い得、バナーに直接勧誘文言がある場合などは、営利業務に「際して」の「勧誘」に該当するおそれもあるものと理解されます。

このように、法律外コンテンツにおける弁護士ないし法律事務所のイメージ広告は境界例とも理解されます。

これに対して、特定の者だけがアクセスできる、いわゆるオンラインサロンなどの法律外コンテンツ内に直接法律事務所のレスポンス広告を表示することは、「勧誘」に該当する可能性が高いと言えそうです。

また、「勧誘」に該当しようがしまいが、そもそも、品位を損なう行為は禁じられており、法律外コンテンツの内容と、表示される広告などの内容や数などを総合的に評価して、別途品位を損なわないように留意する必要があります。

法律事務所ウェブサイト等での法律外コンテンツへの言及

反対に法律外コンテンツの運営が営利業務にあたる場合、当該コンテンツに法律事務所内ウェブサイトで言及することは、弁護士業務に際して不当に行う営利業務行為に該当しないように配慮する必要があります(営利業務及び公務に従事する弁護士に対する弁護士会及び日本弁護士連合会の指導・監督に関する基準 (平成十六年二月一日理事会議決) 4条)。

小括

以上、営利事業に当らない小規模かあるいはある程度の規模であっても当該法律外コンテンツで収益化が予定されていない法律外コンテンツにおいては、別途弁護士としての品位を損なわないのであれば、届出は必要なく自由に発信できそうです。また、当該法律外コンテンツにおいて「勧誘」を特に禁止する規定は、ないことになります。

他方、大規模であるか相当の収益のある法律外コンテンツにおいては営利事業該当性があるから、届出が必要になります。また、小規模なオンラインサロンなど閲覧者が特定される状況で当該コンテンツ上において直接の法律事務の「勧誘」を伴う行為は慎まれる必要があると言えそうです。また、コンテンツ運営者が例えば弁護士として法律事務所を経営しているという社会的事実を紹介することは許容されると理解されますが程度問題といえそうです。この点は、限界事例においては、総合的に品位を損なう行為(営利業務及び公務に従事する弁護士に対する弁護士会及び日本弁護士連合会の指導・監督に関する基準 (平成十六年二月一日理事会議決) 6条)であるか否かを観察していくことになると思われます。

また、このときに社会一般におけるコンテンツの発信状況など社会情勢も一定程度影響を与えるものと理解されます。

さらに、これとは別に広告に関する一般法令はもちろん、業規制にも服することになります。

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