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判決を整理するために以下、ポイントを抜き出して記載しますが、表現はそのままではなく、少し補足的に書いているところもあります。

原告の主張する著作物性のポイント

①電話ボックス状の造形に仕立てた水槽に、電話機も設置された状態で金魚を泳がせるという選択。②ろ過装置などを水槽底部に設置して空気を送り込むのが機能上最適であるにもかかわらず受話器から気泡を生じさせる工夫を施した表現。

被告らの反論(著作物性)

①公衆電話ボックスに金魚を入れるという発想自体はアイディアであり著作権法上の保護対象ではないし、公衆電話ボックスに金魚を入れるという表現はありふれており保護されない。②受話器から気泡を発生させている点も受話器は構造上空気がとおりから、公衆電話ボックスを水槽に見立てる時点で避けられないため、個性の表れとは言えない。

原告同一性の主張

ほぼ同一形状の公衆電話ボックス内に金魚を泳がせ、同水槽内公衆電話機受話器から気泡を発生させる点で、同一性が認められる。

裁判所の判断

原告主張の著作物性の否定

①電話ボックス状の造形に仕立てた水槽に、電話機も設置された状態で金魚を泳がせていることは、アイディアに他ならない。アイディアそれ自体は著作権法上の保護対象とならない。

②ろ過装置などを水槽底部に設置して空気を送り込むのが機能上最適であるにもかかわらず受話器から気泡を生じさせる工夫を施した表現は、もともと穴が開いている受話器から発生させるのが合理的かつ自然な発想である。すなわち(電話ボックスを水槽に見立てるという)アイディアから選択肢が限られる。このようなアイディアを実現する選択肢が限られる場合は限られた選択肢は著作権法上の保護対象とならない。

以上、原告が主張する著作物性の①および②は、いずれも著作物性を肯定する事情とはならない。

裁判所が認めた著作物性

公衆電話ボックスの造作物の色・形状、設置された電話機の種類・色・配置などの具体的な表現においては創作性を認めることができるから著作物にあたる。

裁判所の同一性判断

原告作品と被告作品の対比①電話ボックス造作物

共通点としては、垂直方向に長い直方体で、側面4面がガラス張りの造作内部に水を満たし①金魚を泳がせている。相違点は、屋根の色や、部材が異なる点など。

原告作品と被告作品の対比②公衆電話機(及び棚)

いずれも棚板2枚の上段に電話機が設置されている。しかし、電話機の色、やタイプ、棚の色や、下段の棚の形状などが異なる。

原告作品と被告作品の対比③受話器

両作品とも、受話器が外された状態で浮かんでおり、②気泡が発生している

裁判所の同一性判断

①公衆電話ボックス内に金魚を泳がせ、②同水槽内公衆電話機受話器から気泡を発生させる点は保護の及ばない部分に関する主張である(から確かに共通しているが、著作権法上の同一性の問題とならない。)。

棚板2枚の上段に電話機が設置されている。両作品とも、受話器が外された状態で浮かんでいる。しかし、棚板2枚の上段に電話機が設置されている点はアイディアから必然的に生じる選択であるから創作性がない。

そうすると、具体的な表現として一致するのは、受話器が外された状態で浮かんでいる点だけであるが、この点以外は一致していないから、原告作品と被告作品に同一性は認められない(直接感得性がない。)。

検討

裁判所の判断構造

裁判所の判断構造は、原告作品と、被告作品に、①公衆電話ボックス内に金魚を泳がせ、②同水槽内公衆電話機受話器から気泡を発生させる、③棚板2枚の上段に電話機が設置されているなど、共通性を複数点見いだしながら、共通部分については、アイディア過ぎないか、アイディアから必然的に導かれる選択であることから、創作性がないと判断しています。そのうえで、受話器が外された状態で浮かんでいる点についてのみ共通であるとしながら、当該部分のみが共通であるというだけで、その他の要素が異なっている原告作品と被告作品においては著作権法上の同一性がないものと判断しました。

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